豪雨のアウヤン・テプイ [ギアナ高地]
ボートに乗って、もうどれくらい経ったのだろう。
ひとつの目安としては、カラオ川から、さらにその支流のチュルン川に入る地点は、全体の3分の2くらいになる。
もう、そろそろと思う。
右側のテプイと正面のテプイの間に入っていくのが、チュルン川のはずだ。
ところが、その方向は、白いカーテンが降りたようにすっぽりと包まれている。空から下まで白く見えるのは、雨が降っている場所だ、とグラン・サバナで教えてもらったばかりだ。
どうも行く手は雨ではないか。
右側のテプイの崖から滝が何本か流れ落ちている。あれは、テプイに、たった今、降ったばかりの雨が流れ落ちているのではないだろうか。テプイは、岩でできているので、雨が降ると、それが土に吸収されることなく、流れていってしまう。
こういう名もない滝だって、日本の滝より落差があるはずだ。
右横の崖からも滝が流れ落ちている。
行く方角は、ますます、白い幕が広がっている。青空は影をひそめてきた。
それでも時折、晴れてくるきざしもある。
だが、正面のテプイの右側は、白いまま。
一方、チュルン川方向ではなく、カラオ川本流方向は、青空もみえる。
遠くにボートが見えた。停まっている。5,6人しか乗っていない。
今まで、ボートに出会わなかったことに気が付いた。
こんなところまでやってくる人間は、やっぱり少ないのだろうか。
もしかしたら、お天気はなんとかもつかなぁ。
カラオ川本流方向も雲が増えたかな。
近くのテプイはまだ元気。
このあたりから支流のチュルン川に入っていった。
崖からは、さかんに放流が続いている。もうこれだけ降っているようだから快復しているかも。
だが、いよいよ近くのテプイも雲に覆われはじめ、ぽつぽつと雨が降り始めた。
ボートは急きょ、岸辺の上陸できそうなところをさがして、停まった。
戦闘態勢を整えるために、雨具を着るように、との指示が出る。同時に用もたすように・・・、男性は右、女性は左~~。
用はなかったけど。
私たちは、川にざぶざぶと入って岸辺に上陸する。
ライフジャケットをはずして、雨具用ゴアテックスのジャケットとズボンをはく。そうしているうちにも、どんどん雨脚がひどくなる。こんなに重装備のゴアテックスなんて熱帯で使うのかしら、なんて思っていたけど、大変役に立ちそうだ。
もともと足元は濡れているし、幸福の泉で水遊びした人たちは濡れたままだから、大雨になっても変わらないじゃぁないかと思ったりもするが、ゴアテックスは、雨避けというより、体温を維持するためには必要なのだ。普通の雨合羽では心もとない。
最後にライフジャケットをつけて、戦闘態勢完了。
再び、ボートが出発したころには豪雨になった。
なるべく雨にあたらないように、ひざをかかえて下を向いている。
カメラはビニール袋に入れて、水がはいらないようにしまいこむ。
猛烈な雨。あ~、神様、仏様・・・・・
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