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ラトン島キャンプ場 [ギアナ高地]

エンジェルフォールの展望台から下りてきて対岸に渡るボートに乗ったときは、エンジェルフォールがよく見えた。
滝の直下でみたときは、岩肌の荒々しさが精悍な印象を醸し出していたが、ボートから見ると堂々とした威容の山になる。やはり頂上から滝が流れ落ちている不思議さが残っている。
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エンジェルフォールはエンジェルさんが発見したことからつけられた名前だが、先住民は、古い昔から、この滝を知っていて、チュルン・ヴェナと呼んでいたそうだ。
先住民が名前をつけて呼んでいたにもかかわらず、後から来た人たちが、新発見といって、別の名前で呼び始めることを、ベネズエラ政府がなぜ黙認しているのか、まったく解せない。
日本の富士山をコロンブスみたいな人がやってきて、コロンブス山と呼ばれるようになるとして、日本人は許せるだろうか。

エンジェルフォールのあるアウヤン・テプイは、先住民であるペモン族の言葉で、悪霊のテプイという意味だそうである。テプイは卓状台地のことで、ペモン族の言葉では、神々の家という意味だそうだ。だから、アウヤン・テプイとは悪霊の棲む山という意味なんだろう。

オリノコ川をさかのぼってくると、カロニー川、さらにカラオ川、チュルン川とたどっていって、エンジェルフォールのところまでたどりつける。だからボートさえあれば、昔の先住民もこの姿をみたことだろう。
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5分くらいでキャンプ場に到着した。これから昼食だ。
キャンプ場の登り口から川を見下ろすと、明るい昼の陽射しに川が輝いていた。
川の色がなぜ、茶色かという説明で、タンニンを多く含んでいるから、と書いてある。だが、なぜタンニンを多く含んでいるかの説明がどこにもない。
なぜなんだろうとずっと気になっていたが、ついにひらめいた。川が茶色の理由、タンニンを多く含む理由とは、こうだ。

ギアナ高地は固い岩盤でできているから、雨が降っても地中に沁みこむことなく、すぐに流れていってしまう。このときに、植物から出ているタンニンも一緒に流されてしまうので、川の色が茶色になるのだろう。
日本だと、山に降った雨は、いったん地中に吸い込まれ、分厚い地層で濾過される。そして清流となって川に流れ込んでいく。川の水が茶色いのは、土がないからなんだ。(この説はあっているのだろうか)IMG_1891w.jpg

土壌が豊かであることが、いかに大切かが、よくわかる。
ギアナ高地は、川の水が、酸性になり、大きな魚は棲息できないそうだ。したがって、魚を食べる鳥も少なく、鳥を食べる動物も少なくなるそうだ。

そういえば、鳥が少ない。エンジェルフォールのような、奥地にきても野獣の心配がほとんどない。
これに土壌がやせているとなると、沈黙の世界に近くなる。

さて、キャンプ場に着くと、昼食の用意がすっかりできていた。
スパゲッティと別にミートソースが出てきた。
スイカは、どこに行っても定番だ。
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エンジェルフォールまでの旅程をこなすと、どうも気が抜けてしまう。旅行の最大イベントだったのだから。
荷物をまとめて帰る準備をする。靴もハイキングシューズから、ビーチサンダルに履き替える。

ハンモックで現地ガイドのお子さんが遊んでいた。
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写真の小路は、ボート乗り場からキャンプ場への道。ここでも根っこが地面の上を這っている。
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植えたのではない自生の花もあった。
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葉に大きな特徴のある植物は、よくみかけたが、結局、名前はわからない。
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原種パイナップルという感じの植物もよくみかけた。
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キャンプ場の林の中にいると、確かに、木と木の間にハンモックを吊って午睡したくなる。
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私たちの荷物もボートに積まれた。
出発だ。
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ここ、ラトン島には、キャンプ場がいくつかあって、それぞれ、旅行会社が管理しているようだ。エンジェルフォールへの山道の途中でも、2軒ほど屋根があるだけの小さなバラックがあったが、使われている様子はなかった。
今朝、エンジェルフォール直下にいたのは、私たちだけだったということになる。

エンジェルフォールへのツアーは日本からでもいくつも組まれているが、ほとんどは、カナイマからの日帰りになっている。そうなると、エンジェルフォールに到着するのは、早朝4時にカナイマを出発したとしても、ボートで4時間、歩いて2時間近くかかるから10時になる。そして、すぐにカナイマに戻ることになる。それに往復8時間も背もたれのないボートに乗らねばならないので、体力的にも厳しい。

やっぱりハンモックで1泊してゆっったりとした旅程でよかったと思う。

エンジェルフォールまで舗装道路を作って観光客を誘致しようと思えば、すぐにでもできてしまうと思うが、ベネズエラ政府が原油に頼っていて新産業への投資を怠っているおかげで、大自然が、そのままの姿で残っているともいえる。
だが、今の原油安は、原油に頼っている各国の経済を脅かしている。ベネズエラが原油安で、破たんしたとすると、米国資本がどっとなだれこんできて、ギアナ高地は、一大観光地として大開発がされてしまうだろう。
そうなる前に、ベネズエラ政府には、原油に頼らない経済基盤を早急に作り、かつ自然保護にも注力してほしいものだ。観光客を呼び込むために美人を作ろう、などというピントのずれたことを言っているどころではないのだ。

さて、
ボートから見えるエンジェルフォールには再び雲がかぶさっていた。
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