赤い岩でできたハスペの滝とジュラシックパークの撮影場所 [ギアナ高地]
パライ・テプイでロライマ山を眺めながらの気持ちのいい朝を過ごしたのち、4WDは、出発した。
今日は、ベンズエラのギアナ高地中央のグラン・サバナを走るほぼ唯一の道路を北へ向かって、ルエパの近くのチバトンというところまで行く。その間には、いくつもの滝があって、グラン・サバナ観光といえば、その滝めぐりになる。
グラン・サバナの標高は、大体、1000mちょっとくらいなので、熱帯とはいえ、快適な気温だ。
まず、パライ・テプイに行くときに、炭焼きチキンを食べたサン・フランシスコ・デ・ユルアニまで下っていく。
来る時と同じく、悪路なので時間がかかる。4WDでなければ走れないだろう。
それでも、ロライマ山の風景を見ることは、エンジェルフォールを見ることと並んで、今回の旅行の大きな目玉だったので、清々しい気分だ。
悪路の途中、モリチェ椰子の木が茂っているところで、写真ストップをした。
先住民のペモン族は、今も、椰子の葉で屋根を葺き、実を食べ、幹に巣食う虫を食べたりと、欠くことのできない木なんだそうである。椰子の木の生えているところには、必ず泉があるので、道に迷ってものどを潤すことができるそうだ。
次に向かったのは、ハスペの滝だ。
昨日は、お天気の状況によって、ロライマ山の遊覧飛行を優先してしまったために、スキップしてしまったのだ。
今日の最終目的地からは反対方向にあり、30分ほどブラジル方向に戻ることになった。
この滝は、日本人に人気があるそうだからスキップするわけにはいかない。
人気の秘密は、川床が赤いこととどことなく日本的なムードがあるからではないか、という説もあった。
この赤いのは、碧玉という岩で、英語ではジャスパー、スペイン語でハスぺ、となる。
水の中にじゃぶじゃぶと入っていくと気持ちがいい。
そのために、ラッシュガードで上下を揃えてきた。靴もかかとのついたサンダルだし、靴下もはいているから、虫よけになる。この旅行のために買い揃えたので、記念に足元だけ撮っておこう。
リタイア組のおじさまも、こういうところにくると、童心にかえるようで・・・。
滝の水が流れている方向。ちょっと水が少ない。
名前のとおり、岩がきれいな色だ。それに表面がなめらかですべすべしている。
色が違うところもある。
自然の造形とは思えないほど。もしかしたら、このあたりは、ダイアモンドや金の鉱脈があり、かつてはにぎわっていたそうだから、人間の意図的なものがあったのかもしれない。そうだとしても、なんのためにこんな模様を???
滝の帰り道で、見かけた子供たち。つるで編んだかごを背負っている。
ここは、遊ぶのにも格好の環境のようだ。
滝の水辺に近いところで、青色に輝くモルフォ蝶をみつけたが、カメラで追い回すのは止めた。マチュピチュのインカ古道では、虹色のモルフォ蝶をみつけて、カメラで追いかけまわしたが、10枚以上も撮ったにもかかわらず、どれもピンボケで、がっかりしたのだ。
マチュピチュはアマゾン川の源流になる地域で、ギニア高地と同じく南米の北になるので、モルフォ蝶の棲息域として共通しているのだろう。
道には、こんなアリの巣も。
しばらく走ったと思ったら、すぐに4WDは停まった。今度は、グラン・サバナを見渡すことができる地点だという。
グラン・サバナとは、ギアナ高地の谷間に広がる大草原を指している。地図でみると、ロライマ山やクケナン山のある地域と、エンジェルフォールなどのある地域との間に広がる平野になっている。その真ん中を道路が走っている。
グラン・サバナでは、ジュラシックパークの映画撮影が行われたというが、その映画をみていないので、ナルホドというわけにはいかなかった。
写真は、地点から右をみている。
この地域も熱帯で雨の多いところなので、熱帯雨林が広がってもよさそうなところだと思う。そうなっていないのは、先住民のペモン族が野焼きを繰り返してきたからではないか、という疑念が湧きあがる。だが、ネットで調べてもわからなかった。なぜ、ペモン族が野に火を放つのかもわからない。ここは熱帯なので、暖を取るための焚き木は必要ないので、見通しがいいほうが、防衛上、よかったのだろうか。
現在、ベネズエラ政府は、規制にかかっているらしい。
写真は、地点の左側。
咲いていた花。
さて、4WDは、炭焼きチキンのサン・フランシスコ・デ・ユルアニまで戻ってきて、小休憩となった。ねむの木が茂っていた。
ユルアニの滝で全身ずぶ濡れ [ギアナ高地]
炭火焼チキンのサン・フランシスコ・デ・ユルアニのすぐ近くにユルアニの滝がある。いつもは、水量が多くて豪快な流れなんだそうだ。
降りられるようになっているので、木につかまりながら降りていく。
突然、現地ガイドリーダーさんが、滝の裏側を歩こう、と提案してきた。
日本からの添乗員さんはちょっととまどっている。今まで何回もここに来ているが、滝の裏側までいったことはないそうだ。だが、現地ガイドリーダーさんに絶対的な信頼を置いているので、みんなで、裏側に行こう、ということになった。
最後まで滝の裏には行かない、と頑強に拒否していた私だったが、現地ガイドリーダーさんがレッツゴ~~~!!と私の手を引っ張って行った。そこまで言うのなら命は預けたわよ~。
下の滝の写真は、私が撮ったのではない。私は、滝をくぐっていたのだから。
日本に戻って、写真を整理していたときに、滝くぐりの写真があってびっくり仰天した。
そういえば、ただ一人、滝くぐりに参加しなかったおじさまがいた。彼は、私と同じ機種のカメラを持っていた。だから操作もわかるので、ついでに写してくれたらしい。
彼が滝くぐりに参加しなかったのは、新婚間もない奥様の滝くぐりの晴れ姿を撮るためだったと思うが、私のカメラにまで気を配ってくれて感謝!!!
みんなで手をつないでいけば、こわくない。
てっきり、滝の裏側がえぐれているのだと思っていたが、甘かった。滝の水が頭に直接、降り注いでくるではないか。
崖はえぐれているわけではなくて、水が放物線を描いて、ほんの少し、崖と水との間にすきまができるところを歩くのだ。
足の短いわたしは、膝の上まで水につかってしまった。
岩はすべすべしているので、すり足で歩くように指示が出る。
ここで死ぬわけにはいかないので言われたとおりに歩く。
つないだ手に引かれているうちに、滝の外に出た。あ~生きてた~。だけど、ここからどうするのさ~。
こんなところまでカメラを持ってきた人が、記念写真を撮っている。
なんか、みんな、おおはしゃぎ。
また戻るときが大変。意を決して猛烈な水圧に耐えながら滝の中に入っていく。
赤信号、みんなで渡れば怖くないのよ。
そろりそろり・・・・。
ホ~~、全員、生還しました。
だが、大切なサングラスがないことに気が付いた。
滝に入るときに、外し忘れていたと思う。戻ってきたら、どこにも見当たらなかった。必死だったからねぇ。
現地ガイドリーダーさんいわく。
”エンジェルフォールで見つかるさ”
サングラスですんで良かった。命はあったのだから。
アラパンの滝の花 [ギアナ高地]
ユルアニの滝では、思いがけず、ずぶ濡れになってしまった。
だが、グループ全員、濡れてもそのまま、4WDに乗る。
さすが、シートには、持参のビニールシートを敷いた。
グラン・サバナにはいくつもの滝があり、それぞれ見どころがある。
ずぶ濡れになったユルアニの滝は、もともとは、豪快な流れを眺める滝だったのだが、今回は、水量が極めて少ないということで、急きょ、裏見の滝になった。いつもは、そんなことは、できないそうだ。
4WDは、ほどなく、次の滝に到着した。
アラパンの滝という。ここはのどかな風景が広がっているし、滝もおだやかな表情を見せている。
この滝は水浴びをして遊ぶ滝なんだそうである。
私たち以外はだれもいない。滝占有状態で、みんな水遊びを始めた。
滝壺に飛び込む人。
歩きまわる人。
私はカメラ持参で、膝まで水につかって、植物観察だ。おだやかな川岸には、めずらしい木や花がある。
これは大きな木の花のつぼみだ。とてもきれいなピンク色だ。
花も咲いていた。花の名前がわからないのは残念。ギアナ高地の本をみると、マグノリアと書いてあった。
だが、外国の花の本では、モクレンだってマグノリアと書いてある。
我が家の近所には、立派なタイサンボクがあるが、それが、正真正銘のマグノリアだと思っている。
そのタイサンボクの花と比べてみても、雄しべや雌しべのつき方がかなり違う。それに、タイサンボクは、こんなにピンク色にはならないし、花がもっと大きい。
でも、木全体の雰囲気は、確かにタイサンボクに似ている。
マロニエ、もしくはベニバナトチノキに花の雰囲気がそっくりだ。
だが、ひとつひとつの花の形がベニバナトチノキとは異なる。
いったい、だれでしょう、この美人は。
これは、キバナキョウチクトウだと思う。調べてみると、東京にも咲いているらしい。
これは、調べてもわからなかった。
特徴のある葉を持つ、この植物は、草なのか、木なのか、よくわからないがよく見かけた。
極楽鳥花の原種みたいな花もベネズエラではどこでも咲いている。
植物観察をしているうちにも、グループの皆様の水遊びは終わったようだ。
みんな水に入っても、着替えないで、そのままだ。
暑いし、速乾の服を着ているので、まぁ、なんとか我慢できる。
濡れたままで、再び4WDに乗り込み、次は、テプイがよく見えるところで、写真ストップをした。
ここはテプイの谷だという。テプイと呼ばれる卓状台地の山がいくつも見えるので、そういう名前を、添乗員さんたちが、つけたそうだ。もともと名前がついているわけでもないらしい。
正面の卓状台地は、2600mのユルアニ・テプイだと思う。
鉛筆のようにとんがっているのが、ワダカイピエポ、これは間違いない。
グラン・サバナの大草原が以前は、森林地帯であったということだが、調べてみるとどうも、ガラガラヘビがいて危険なので、焼き払っているということらしい。それにしても貴重な森林を焼いてしまうというのは、なんとかならないものだろうかと思う。だが、当事者にしてみれば、命に係わることだから仕方がないのだろう。
カマの滝の花嫁と花婿 [ギアナ高地]
ベネズエラの東よりを走る道路は、ブラジルから国境を越えて続いていて、首都のカラカスまでつながっている。ブラジルから陸路でベンズエラに抜けるのは、この道路しかない。
ベネズエラのこの道路の西側はギアナ高地の山になっている。東側は、ロライマ山などがあり、やはりギアナ高地の山が連なっている。さらに東側は、ギアナ高地のガイアナ側になり、深いジャングルになっている。カイエトゥールフォールがあったあたりだ。
というわけで、ギアナ高地の真ん中に位置するグラン・サバナが、東と西に広がるギアナ高地の山にはさまれる谷間になっている。
だから水は、グラン・サバナに流れてきて、川となり、滝を作ることになる。
単なる川でなく滝が多くあるのは、多分、ギアナ高地全体と同じ理由によるものと思われる。直角に切り立った山ができるのと同じ理由で、平地のグランサバナも切り立った滝ができるのではないだろうか。
次に訪れたのはカマの滝だった。
滝の入口に紫色の花が植えられていて、ちょっと小ぎれいにしている雰囲気は、今までみてきた滝と違う。
花は、野ボタンだった。
思いがけない場所で知人に出会ったような気がした。この花は、中国の西安でも見たことがあるから、世界中で人気があるのかもしれない。
しばらく歩くと、観光客が集っていた。今まで観光客にはほとんど出会わなかったので、これも今までの滝とは違っていた。
どこから来たのか、聞いてみると、右端の青年がドイツからという。都市の名前は忘れたが。
なんでも結婚式があって、新郎がドイツ人で、その友達なんですって。
新婦がベネズエラの人だという。
しばらく坂道を登っていると、上のほうから妖精のような女性が、下りてくるのが見えた。
そっかぁ、これが新婦なんだ。なんだか映画の1シーンみたいだ。
写真を撮らせてもらおーっと。
そうこうしているうちに新郎も上から下りてきたので、ツーショット。
今日はいいことがありそう。
あら、子どもたちも一緒にきているんだわ。
さて、しばらく坂道を登っていくと滝がみえた。
落差55mというから、日本一の那智の滝の133mの半分くらいかしら。
水量は、かなり少なくなっているようだが、それでも日本の滝より、多い。
滝と反対の方向の景色。
写真下側にけわしい山道があって、そこから滝壺に降りられるらしい。今回はパス。
滝の見学を終わって、また戻ってくると、さっきの花嫁が、もう着替えていた。集まっていた人たちもランチになっていた。
滝の上は、おだやかな流れにみえて、その向こうに真っ直ぐ落下する滝があるとは思えない。
こういうところは、危ない。うっかり足を滑らせると滝に落ちてしまいそう、と思うが、対岸には、白人の親子が遊んでいた。さっきのグループの一員かな。こういう危険な場所で子どもが遊んでいるのは、日本では決してみることができませんね。ベネズエラもどうやら自己責任の国らしい。
カモイランでのランチは札束で支払 [ギアナ高地]
朝、パライ・テプイを出発して、赤い岩のハスペの滝、ずぶ濡れになったユルアニの滝、水遊びのアラパンの滝、そしてカマの滝、ともう4つの滝を見てきた。
カマの滝では、レストランでランチをとる予定だったのだが、この日はお休みだったので、カモイランという町でのランチとなった。
ロライマ山の遊覧飛行を昨日やったが、昨日のお天気次第では、今日の朝になったかもしれないし、そうなると、滝の見学スケジュールも予定通りにはいかなくなってしまう。
なので、ランチのレストランはあらかじめ予約することができないそうである。
10数人のグループで、予約なしで、食事にありつけるのだろうか、と思ったが、幸い、カモイランは地図にもある町だし、幹線道路沿いなので、なんとかなるらしい。
大きなレストランに入った。
水たまりがあるところを見ると、スコールでもあったのかな。
さっそくトウモロコシ粉を練って焼いたパンみたいなものが出てきた。
だが、それからが長かった。なるべく手間がかからないように4種類ぐらいにまとめて注文したのだが。
本日のスケジュールはほぼこなしたし、これから宿泊先のチバトンまで行くだけだから、のんびりしてもいい。
待ったかいがあって、そこそこおいしかった。
おいしそうなパスタを少しおすそわけしてもらったが、これは△かなぁ。
で、グループの食事代をまとめて添乗員さんが支払うのだけど、その札束が半端じゃない。もちろん、この札束すべてを払うのではないそうだが、これが日本円で1万円くらいなんだそうである。
猛烈なインフレの恐ろしさを目の当たりにみてしまった。
これを数えるのだけでも、大変だから、ベネズエラ全体でその非効率を積算していくと、膨大な無駄が発生していることになる。
ここのレストランは、宿泊施設もあるようで、子どもたちも遊んでいた。
さて、また4WDは幹線道路をルエパに向けて走る。そこからチバトンへは、舗装がなくなる。
パライ・テプイへ行く道路よりは、いくぶんましな道路だけど。
本日の宿泊先はチバトンというところなのだが、この名前はグーグルで探しても出てこない。ただ1軒のロッジがあるだけなんだそうだ。
なんというところにいくのだろう。
途中で休憩をとったところはお土産らしきものがおいてあるお店みたいだったが食事もできそうな雰囲気はあった。
揚げたか、炒めたかのアリをすすめられて、みんなおいしそうに食べていた。私はおなかの調子がイマイチなので、やめておいた。ちょっと残念。
店のおやじさんが、お話し好きらしくて、このあたりの金鉱山にかかわる伝説を話してくれた。内容はともかく、おやじさんのはなしっぷりと、奥さんらしき人の合いの手がおかしくて笑ってしまった。
このおやじさんは、アナコンダが人間を飲み込むのを見たことがあるという。
アナコンダというのは、蛇だそうだが、自分より大きいものでも飲み込んでしまうのだとか。
ここの先住民が野焼きをして、森林を焼き払ってしまうのは、アナコンダが棲めないようにしているのかもしれない。
道路標識などほとんどみかけない幹線道路を走ってきたが、未舗装の道路にくると標識があった。
ここからサン・フランシスコ・デ・ユルアニまで142kmとある。とすると、今日はパライテプイからからでこぼこ道をサンフランシスコまで下りてきたので、だいたい、160kmくらい走ってきたのかな。
黒い雲がどんどん増えてくる。白く太陽光線が入ってきているようにみえているが、あれは雨が降っている場所だ、と説明してくれた。確かに太陽光線だと放射状になるが、あの白い線は並行して地上に下りている。
向こうのほうにテプイ(卓状台地)が見えている。
薄暗くなるし、広い草原には1軒の家もない。グループで行動しているとはいえ、心細くなってくる。
ようやくチバトンに到着すると、ランのような花がいっぱい咲いていて、ほっとした。
ロッジの部屋に入って驚いた。ベッドが6つある。奥の部屋に2つ、こちらの部屋の写真に写っている2つ、手前には、2段ベッドがある。
それに電気も使っていいし、温水の出るシャワーもついている。
パライテプイのロッジでは、カメラの電池の充電ができなかったしシャワーは水だった。
ユルアニの滝でずぶ濡れになった衣服はもうほとんど乾いてはいたのだが、部屋中に衣服を並べた。
夕飯には、旅行に出てはじめてスープが出た。かぼちゃだった。
ベネズエラでは、ビールが2ドルで飲めるし・・・
鶏肉のソテーもおいしかった。
グラン・サバナを通り抜けた長い長い1日がようやく終わる。
チバトンのロッジの花 [ギアナ高地]
ギニア高地にある大草原、グラン・サバナの北西部にあるチバトンというところで迎えた朝、まだ太陽が昇る前から、ロッジの庭を散歩した。花が自然に植えられていて、みていて楽しい。
帰国後、名前を調べてもわからないものばかりだ。わかったものから追記していくこととしよう。
キョウチクトウ科のアリアケカズラかな。
芙蓉。うちの近所にもいっぱい咲いている。グラン・サバナでお目にかかるとはうれしいではないか。
昨日は咲いていたのかな。晩年になっても気品がある。
ハイビスカス。背景の紫の花はノボタン科みたい。
ノボタン科。
ロライマ山の卓状台地に咲いていた花だ。ギアナ高地を代表する花、ステゴレプシス・ガイアネンシス。
クルシア・クリウバ。 オトギリソウ科。
ブラジル南部の原産。
これは咲きかけ。
上と同じ、クルシア・クリウバ。
私の背丈より高いところに咲いている。
アラパンの滝の岸にあった木の花と同じだ。これはつぼみ。
ようやく名前がわかった。
上のクルシア・クリウバと同じ、オトギリソウ科のクルシア・グランディフローラ(Clusia grandiflora)。
何の実だろう。
ほおずきの枯れたのみたいだけど??
5つに割れた実。自然界には5が多いというけど、それぞれに角が2本出ている。何の実だろう。
カトレアそっくりの花。
きれいなので、特写しておこう。
カトレアそっくりの花は、ロッジの部屋の前に咲いていた。咲いている様子からみると、とてもカトレアとは思えないほど、伸びている。カトレアのような根っこのバルブもない。
マクレアニア・ルペトリス(Macleania rupestris)
わからない。木に咲いている。
ノボタン科の花だと思う。
白い芙蓉。ロッジの裏に咲いていた。夕方にはピンクになるのかな。
ブーゲンビリア。
チバトンのロッジの朝 [ギアナ高地]
ギニア高地のグラン・サバナにあるチバトンは、グーグルマップで探してもみつからない。なので、、標高とか位置関係などを確かめるのは難しい。標高は、1500mは優に超えているのではないかと思う。
ガイアナからブラジルに入ったところは、標高100mほどだった。ブラジルからベネズエラに入ったサンタ・エレナの標高は約1000mだ。そこからグラン・サバナは北へ向かって標高が少しずつ高くなっていると思われる。なぜなら川が南へむかって流れていて、川の上流に向かって走ってきたのだから。
ちなみに、ベネズエラのグラン・サバナの川は南に向かって流れているが、ブラジルとの国境手前でオリノコ川の支流、カロニ川に流れ込み、ギアナ高地をぐるりと回り込んで、北へ向かっており、ベネズエラ最大の川、オリノコ川になっていく。南に流れていながら、最終的にはそれより北の河口までめぐりめぐっているのは、地理的に興味深いことだ。
さて、標高が1500mを超えていると思うので、それほど暑くもなく、とても気持ちがいい。だから花も元気なのだろう。
ロッジの裏側に咲いていた花をひととおり眺めてきたので、今度は、入口側にまわってみる。
下の写真の川が入口になっていて、木の間を抜けていくと、ロッジの建屋がいくつか建っている。右側は、オーナーの家だと思う。
入口の右側の木は合歓の木だ。パライ・テプイへ行く悪路が始まる村サン・フランシスコ・デ・ユルアニにも、合歓の木がシンボルツリーのように植えられていた。
ちょうど花盛りだ。
入口の左側の木は、オトギリソウ科のクルシア・グランディフローラだろう。
もう1本、入口の左側に木がある。マロニエに似た花が咲いていた。この木と上の写真のクルシアはアラパンの滝にもあった。
雌しべが黄色くて、大きく、曲がっているという特徴がある。
ロッジ入口の右方向をみると、川の向こうに、ロッジオーナーの家が続いている。川の岸辺に護岸の石垣を積んでいる。ここまで手を入れているのはあまりみない。
川の上流方向にはなにもない。川の水はタンニンを含んでいて茶色だ。白い泡もみえるが、あれは多分サポニンだろう。植物の成分なんだそうだ。
川を超えて散歩する勇気はなかったので、また引き返す。このロッジのオーナーの家畜(鶏だろう)がピューマに狙われたこともあるというし、ここへ来る途中の休憩所でもアナコンダが人間を飲み込んだはなしを聞いたばかりなのだ。野犬は、みかけないが。
ロッジには私たちのグループしかいないようだ。車が私たちの4WDしか停まっていない。
長屋みたいなのがロッジ。ロッジの庭には、石の椅子やテーブルも置いてある。
キョウチクトウ科のアリアケカズラが地面まで枝を上して咲いている。
これは何の実だろう。
ひっそりとなにげなくランが咲いている。
カンゾウかな。
パイナップルの原種みたいだ。
そろそろ陽が昇りはじめた。
プヨプヨという蚊よりも小さい虫が目の周りを飛び回る。これに刺されると、3日後にかゆくなると言われていたので、防虫ネットまで持ってきたのに、かぶるのが面倒でかぶっていなかった。今までは刺されなかったが、カメラを構えて被写体をじっとねらっているときに、虫が手の指の間に入り込んで、何か所か刺されてしまった。ぽちっと黒い斑点ができるので、刺されたことがわかる。ここが、帰国後1週間ほどして猛烈にかゆくてふくらんでしまった。
陽が昇って、もやっと水蒸気があがりはじめたときが危ないのだ。
朝は、とうもろこし粉の生地を焼いたほっかほかのパンがとてもおいしい。
このロッジには2泊するので、スーツケースを整理する必要もなく、朝はのんびりできるのがうれしい。
パッションフルーツのジュースも珍しい。
陽が昇ってきて、花が輝き始めた。
オーナーの飼ってる鶏も元気いっぱいに走り回っている。鶏肉がおいしいわけだ。
旅行にきてもう何回、鶏肉を食べただろう、牛や豚よりうんとおなじみの蛋白源なのだ。
ボートで見に行くアポンワオの滝 [ギアナ高地]
グラン・サバナの北西のすみっこチバトンで迎えた朝、電気も使えたし、シャワーも温水が出て、久しぶりにのんびりとした。
チバトンでは2泊するが、まぁ、言ってみれば今日は、休養の日でもある。昨日は、パライ・テプイでロライマ山の日の出をみるために、夜明け前から起きていたし、その後、滝めぐりでびしょ濡れになって遊び疲れた。
明日からは、いよいよエンジェルフォールに向けて厳しい旅程をこなすことになるので、ここで英気を養う、という筋書きだ。
そういうわけで、今日の予定は、アポンワオの滝を見るだけ。ボートに乗っていくという。
4WDは、また、でこぼこ道をくだっていく。
1時間ほどで、ボート乗り場に到着した。
玉ねぎのような実をつけているのは、クルシアだ。チバトンの庭では、きれいな花をつけていた。
川の岸辺の林では、若者たちがキャンプをしていた。こういうグループは後にも先にも、この一組だけだった。
そういえば、今日は日曜日、仕事も休みなので、来ているのだろうか。大音響で音楽を鳴らしている。
こういうところで、キャンプをしてくつろげるのは、ベネズエラでは、金持ち組になるらしい。一般大衆は、多分猛烈なインフレで暴動寸前ではないだろうか。
ボート乗り場が見えてきた。
ちゃんとボートに乗れるように土手を石で固めている。観光を意識した場所だ。
ボートは2台に分乗した。あっちが早いとか、追い越したとか、すっかりお遊び気分になった。
ボートは20分ほどで、目的地に到着した。
ボートを降りたところに咲いていた花が、黒っぽかったので、一瞬、ぎょっとした。
銅葉ハイビスカス・ブラックキングかなぁ、それとも黒葉アメリカフヨウかなぁ。
ここで見ただけで、ほかでは見なかった
ボートを降りて、川沿いに15分ほど歩く。
小さな花が咲いている。
鮮やかな花も。ラン科のエビデンドラムのようだけど。
ハハコグサみたいに白い毛におおわれた草。
現地のガイドさんが、道の真ん中にあるシロアリの巣を教えてくれた。靴で、巣を少し壊して中を見せてくれる。
道のど真ん中に巣を作るなんて、アリも、ちょっと見通しが悪すぎる。人間に蹴っ飛ばされたらそれでおしまいではないか。やはり、アリといえども、大所高所から広い視野を持って巣を作る場所を決めることが重要だ。
ガイドさんは、観光客をここへ連れてくるたびに、同じ説明をするためにアリの巣を壊すのだけど、同じところにまた作るのですって。このアリは、学習能力にも欠けているらしい。
このシロアリは喉の薬にもなるそうだ。
壊された巣からアリがうじゃうじゃ、出てくる。
他のところには、ハキリアリもいて、葉っぱを運んでいた。
15分以上、歩いているけど・・・。
あ、看板が見えた。アポンワオと書いてある。
あら~~滝だわ~。
滝と反対方向は、グラン・サバナが広がっている。
アポンワオの滝壺まで [ギアナ高地]
4WDで、アポンワオの滝に来る途中、イボリボという村を通ったが、そのあたりの野原にも、チバトンのロッジでみたカトレアそっくりの花がいっぱい咲いていた。国道をそれたところなので、未舗装の道路で、写真を撮るどころではなかったのは残念だった。
4WDを降りて、さらにボートでやってきたところにも、この花が咲いていた。現地ガイドさんは、この花は、クリスト・レイという名前だと教えてくれた。花びらを向くと、キリストの像みたいなのが、ほれ、この通り、と言って、見せてくれた。
帰国後、クリスト・レイを検索してみたが、ぜんぜんみつからない。ギアナ高地の本には、ラン、と書いてあるだけ。
結局、花の名前はわからなかった。
この花は、この近辺には、どこにでも咲いているから、あまり注目されないのかもしれない。
しばらく歩くと、滝壺に下りる道の標識があった。この滝は、滝壺で遊ぶ滝らしい。
だが、この滝は、落差115m、これを下りろ、というのか!!!
華厳の滝は落差97mで、ここより短いにもかかわらず、滝壺に下りるエレベーターがあった。
意を決して、下りはじめる。途中にカメラに収めたい花や景色があったのだが、ころばないよう、道をしっかり確認することを優先しよう。岩ばかりだし、木の根っこが伸びていてつまづきそうだ。
あら、ここにもマクレアニアが。チバトンの庭に咲いていた。
必死で崖道を下りてきたかいあって、素晴らしい滝が目の前にあった。
華厳の滝より20mほど落差が大きいが、それほどにも見えないのは、横幅があるためだろう。
柵も何もないので、どんどん近づいていく。
だが、水しぶきで、カメラ撮影はできなくなった。衣服も濡れていく。仕方なく、退散したが、レンズは下の写真のように、水玉模様になってしまった。
さすが、ここで滝に打たれたりして遊ぼう、という人は誰もいなかった。
滝のまわりの植物でも眺めていよう。
日本にもありそうな感じの植物なのだが、葉の様子が微妙に異なっている。
これも日本にもありそう。こういうのは調べてもわからない。
さて、また川沿いに歩いていく。
この滝は、ちょっと離れて眺めていたほうがきれいに見える。
遠くから望遠で撮ったほうが、レンズが水浸しにならなくていい。
さて、川沿いにさらにどんどん歩いて、滝から遠ざかっていく。
隠された泉、という名前の場所に行くという。エ~、名前がいいじゃない。
ひっそりと木に囲まれ、小さな滝のある泉が見えてきた。なるほど、隠された泉ね。
なんだか日本風だ。
狭くて、水辺に全員がいけるのかしらと思うほど。
この泉は、水浴びをして遊ぶ場所だとのことで、さっそくみんな水に飛び込んだ。
だけど、正直なところ、タンニンを含んで、黒っぽくなった水の色と、太陽も差し込まないほどの原始的な森林におおわれて今にもネッシーが首を出しそうな雰囲気があるので、水に入る気はしなかった。年のせいかなぁ。そういえば、女性の中で最年長のようだし・・・。
木漏れ日を受けて咲いている花を眺めているのも楽しい。
木や草を眺めていてもあきない。
ひとしきり、小さな滝で遊んだあと、同じ道を引き返す。
115mを登るのは大変なので、カメラはしまいこんで、登ることに専念しよう。
こういう花が咲いていても。
ようやく、滝の上まで登ってくると、イボリボ村の1軒だけポツンと建っている民家に立ち寄った。
そこの木に奇妙な花が咲いていた。ビワの花もこんな感じだった。毛でおおわれていて、おとなしめの花が咲いている。
民家の庭では、どぶろくのような地酒の造り方をみせてもらったり、芋のようなものの煮方を見せてもらったりした。
国立公園の中にあるグラン・サバナに住むことを許されているのは、ペモン族だけなんだそうだ。どうりで、ベネズエラに入ったときから、働いている人たちの顔つきが、ペルーやボリビアに住んでいるインディオに似ていると思ったわけだ。
ここイボリボ村も先住民族のペモン族の村だ。
民家の庭にはダリアが咲いていた。
グランサバナのシエスタ [ギアナ高地]
アポンワオの滝壺からようやく滝の上まで這い上がってきた。115mの高さの崖を一気に登るのはきつい。
ボート乗り場までまた来た道を引き返す。
20分ほどの道のりだ。
こういう写真を撮ったりしながら歩くので、いつも集団に遅れてしまう。
ボートは、また二手に分かれて、追い越したり追い越されたり。
ボートに20分くらい乗って、4WDまで戻ってきた。
楽しみな食事、右の簡素な建物がレストランだという。
レストランといっても、メニューはない。全員同じ、また鶏肉だ。ハニーチキンだと言っていた。滝に行くときにオーダーしていったのだろう。日本のブロイラーと違って、おいしい。何回続いてもいい。
食事の後は、もうロッジに戻るだけで、予定が入っていない。
川岸でのんびり過ごす時間となる。
木蔭の白い砂に座ってあたりを見渡す。昼寝をするのにもってこいの時間と場所なのだが、ちっとも眠くならない。
グループの中には、日陰に入らないで、ボートに腰かけてこちらをウォッチングしている人もいる。
なにを見ているのだろう。
そっか、私たちがくつろいでいる後ろには、来るときに騒いでいた若者たちのグループがいたのだ。
この人たちが、音楽をかけて、踊ったり、アルコールを飲んだりしている。
そのうち、私たちのグループと合流してのお祭り騒ぎになった。
イヤー、皆さん、陽気。
すてきな女性が、こちらにカメラを向けてきた。
これからは、写真の撮りっこになった。
それにしてもベネズエラの女性のきれいなこと!! 昨日のカマの滝の花嫁も美人だった。
調べてみると、2008年、2009年、2013年のミス・ユニバースの優勝はベネズエラだ。スペインからの植民者や、アフリカからの奴隷、それに先住民などの混血が進み、その結果として美人を生んでいるのだろう。どれくらい混血が進んでいるのか、ベネズエラの民族の割合を調べてみようと思ったが、これが意外によくわからない。
ベネズエラ政府としては、民族うんぬんではなくて、今ベネズエラに住んでいる人がベネズエラ人なのだから、それで一致団結していきたいということで、民族別統計は公表していないらしい。
で、推測で研究者が数字を出している。メスティーソと呼ばれる白人と現地人との混血は7割を占めるという記事もあった。
統計情報は、細かく出していくと、それなりに、いろいろな問題が透けてみえてくるので、民族統計もだしていけばいいと思うのだが。統計情報は、細かい分類で出してほしいものだ。
で、ミス・ユニバースにベネズエラ政府は、早い時期から熱を入れてきたのだが、その理由が、観光客にベネズエラにきてもらうには、美人を多くすればいい、ということで始まったらしい。美人養成学校に女性の半分以上は幼い時から通っているという。
なんかベネズエラっておかしくありません??
ついでに、ミス・ユニバースもそろそろ幕引きの時期を迎えていると思うのですが・・・・。
近くにトケイソウが咲いていた、今朝、ロッジで飲んだパッションフルーツのジュースは、この実を絞っている。
うちの近所で、垣根にトケイソウをつたわせているお宅がある。日本では実をつけるところまでいかないのかしら。あんまりパッションフルーツジュースって聞かない。
結局、川べりでのひとときは、誰も川で水遊びはしなかった。
4WDはチバトンのロッジへ向けて出発する。
途中の草原で運転手兼、現地ガイドさんが、虫を捕まえる草をみせてくれた。
ブロッキニアという名前で、真ん中にあいている穴に虫を寄せ付けて、中の液体でとかしてしまうのだそうだ。
近くの茶色のいがいがの花は、ギアナ高地の花、ステゴレプシス・ギアネンシスだ。
ほれ、虫が入っているでしょ、とガイドさん。
あちこちに生えているブロッキニア。
土地がやせているので、食虫植物が多いらしい。
もう一人のガイドさんは、離れたところから牛の骸骨を持ってきた。ほれ、こんなのも落ちていた・・・。
遠くから、牛たちがカメラ目線でご挨拶してきた。
今まで、牛などほとんど見なかったが、この辺では飼育しているようだ。
草原には、こんな見慣れない植物も。
舗装されていない悪路をえんえんと走って、ロッジに帰ってきた。
ロッジの花はなんどみてもあきない。ベネズエラ美人よりこっちの花のほうがいい。
このエビデンドラムは、アポンワオの滝にいく道にも咲いていた。
カトレアのそっくりさんも滝の近くに自生していた。
ロッジの夕飯は、またスープが出てきてうれしい。
昨日はチキンだったけど、今日は、骨付きの牛肉だ。さっき見た牛ではないでしょうけど。
お皿の上のほうにバナナのソテーがある。これはどこでも出てきて、どこで食べてもおいしい。
チバトンのロッジに2泊もしてくつろげた。
だが、今夜は忙しい。
明日から2泊は、エンジェルフォールとカナイマに泊まるが、そこにスーツケースを持っていけない。小型飛行機に荷物は積めないというし、この地区には道がないので、飛行機でしか行くことができないという。
だから、スーツケースは、ここからプエルトオルダスまで先回りして待っていることになる。
というわけで、荷物を3つに分けなければならない。
エンジェルフォールとカナイマに持っていく荷物、持っていかないスーツケース、それに手荷物のリュックサックの3つだ。
エンジェルフォールはハンモックで寝ることになっていて、そこでなにが必要になるのか、いくら聞いてもイメージできない。
寒いといけないので、パジャマとして、ダウンジャケットと裏フリースのズボン。
ボートで行くので水浸しになってもいいようにビーチサンダル。
エンジェルフォールの近くまでハイキングになるので、底のしっかりした靴。
などなど考えていたら、どんどん飛行機に積む荷物が増えていく。
2泊分は、寒くなく寝られることを最優先にしよう。
ルエパからカナイマへ [ギアナ高地]
ようやくエンジェルフォールのふもとまで行く日がやってきた。
花に囲まれたチバトンのロッジを去るのは、さびしい気もする。ここは長く滞在してのんびり過ごしたいところだ。
カトレアそっくりの花も見納め。
ノボタン科の名前のわからない花も見納め。昨夜、雨が降ったのだろう、水滴がついている。こういう朝は、花を撮っていたいものだ。
日本のカンゾウより、うんときれい。
キョウチクトウ科の花は、またどこかでお目にかかれそう。
最後にロッジの庭をもう一度。
むこうの緑の屋根が食堂、左は、泊まった部屋だ。部屋の前に人間よりずっと大きい犬が寝そべっていて、食堂に行くのがちょっと怖かったけど、あの犬はどうしただろう。ちゃんと番犬をやってるかな。
さて、4WDは、がたがた道をルエパに向けて出発する。地図でみても20kmほどしかないが、未舗装だから時間がかかる。
ここが飛行場、といって、降ろされたところは、な~んにもないところだった。
屋根のスーツケースは、飛行機に乗らないで、4WDがプエルトオルダスまで運んでいくので、積み替えている。
遠くに、管制塔らしきものも見えるが、飛行機はここに来るので、ここで待つという。
ガイアナのジョージタウンからレセムまで小型飛行機に乗ったときは、荷物込みで体重計に乗り、重さをチェックされたのだが、ここでは、そういうこともしないらしい。
だが、30分以上待っても飛行機が来ないので、なんにもないところだけど、あっちへうろうろこっちへうろうろ。
用を足したい方は、その辺でお願いします、という。
その辺まできてみたけど・・・
ようやく飛行機がやってきた。あっ、2機ですね、とガイドさん。あら、何機来るのか、知らなかったの~!
荷物を積んでもらって。
飛行機に乗り込んだと思ったら、あっというまに飛び立つ。
グラン・サバナの大平原が広がる。木のあるところは、小川になっているはずだ。
しばらくすると、森林地帯になった。熱帯のジャングルだ。グラン・サバナももともとは、こういう姿だったのだろう。ペモン族が野焼きをするので、草原になってしまったのだ。
いよいよテプイ(卓状台地)が見え始めた。ここからカナイマまでは、たくさんのテプイがある。エンジェルフォールのあるアウヤンテプイも見えるはずだが、お天気がどうかなぁ。
飛行機の機体がちょっとじゃま。
ギアナ高地上空のランデブー [ギアナ高地]
グラン・サバナの北にあるルエパから、カナイマまでは1時間弱のフライトだ。地図をみると200kmもない。
エンジェルフォール観光の基点になるカナイマへ通ずる道路はない。ルエパからの道がないだけでなく、カナイマは陸の孤島で、どこからも車でいくことはできず、空から行くしかない。
あるいは、ボートで川をさかのぼって行けるのかもしれない。オリノコ川の支流カロニー川からさらに支流のカラオ川の岸辺にカナイマがある。カナイマからさらにどんどんさかのぼっていくとエンジェルフォールがある。
カナイマには滝があるので、その先にさかのぼっていくには、ボートを下りなければならず、滝の上からまたボートに乗ってさかのぼっていくことができる。カナイマまでも滝になっていてボートが通行できないところがあるのかもしれない。
カナイマに通じる道がどこにもないなんて、本当か?と思ってグーグルマップで調べてみたが、やはり道路はない。そもそもこのあたりは、グーグルマップで調べても情報が少なくて役に立たない。ガイドブックの地球の歩き方の地図のほうが、少しましだ。その”地球の歩き方”でもブラジル編のおまけみたいな形で、40ページほど都市中心の案内があるだけだ。ギアナ高地の解説は地図を入れてもわずか5ページしかない。しかもその地図には、ルエパが載っていない。
今回の旅行では、情報の少なさに驚いた。
ギアナ高地が地球最後の秘境と言われるわけだ。
すべての道はローマに通ず、と思っていたが、それは、ローマの驕りだろう。大国中心の考え方には落とし穴がある。
飛行機はグラン・サバナの平原から森林地帯に入り、ほどなく、テプイ(卓状台地)が見えるようになった。が、雲もどんどん出てくる。
ルエパからカナイマまでは、いくつものテプイがある。
ロライマ山で見たのと同じように切り立っている。
また森林地帯になる。川が蛇行している中に砂地が見えているのはなんだろう。草地になっているから、人の手が入っていたところかもしれない。
このあたりには道路はないと思うので、ボートでくるしかないと思うのだが。
この川は、カナイマからみると、さらに奥地にあたる場所になるはずだ。グラン・サバナからは、川伝いでは来れない。
グラン・サバナの川も最終的にはオリノコ川に流れ込んでいくが、ギアナ高地を取り囲む形で、グラン・サバナから南に流れていき、めぐりめぐってカロニー川に合流する。
ということは、飛行機で今まで飛んできたところに分水嶺があったはずだ。
ここはテプイの上のようだ。岩のテーブルが置かれているよう。
ロライマ山の頂上台地に似ている。
飛行機の車輪が写ってしまったけど。
おだやかなテプイ頂上だ。
こういうのが、かなり続いている。大きいテプイだ。
これはテプイの端のようだ。雲の湧いているところが、切り立った崖なのだろう。
今度は崖に滝が見える。
また、台地頂上の端のようだ。
テプイが切れて森林地帯に入った。
お天気が良くないので、エンジェルフォールは見えないようだ。
すぐ近くに、飛行機が見えて、驚いた。2機に分乗して飛び立ったもう1機だ。
しばらく並行して飛んでいる。
もう卓状台地の上空飛行は終わったようだ。台地状の山は遠くになってしまった。
ギニア高地上空でのランデブーも終わって、もう1機は飛んで行って見えなくなった。
空からみたカナイマ [ギアナ高地]
もうカナイマは近いらしい。ルエパからカナイマまでは1時間弱なので、あっというまに到着してしまう。
川の中に砂州ができていて、縞模様になっている。タンニンを含む水の色は茶色くコーヒーを流したようにみえる。この水をブラックウォーターと呼んでいた。
普通の水と変わらないようにみえるのだが。
飛行機はどんどん高度を下げていく。
遠くに、ギアナ高地を象徴する卓状台地が見える。
湿地帯のようなところとか、
まだまだ森林が残っていたり。
いきなり滝が見えた。反対側の窓越しなので、よく見えない。
カナイマ湖にそそぐ滝だ。
サポニンを含む水のため、泡立っている。岸辺の水が茶色く見えるから、やっぱり水は茶色なのだ。
泡がきれいだ。
あっというまにカナイマ湖を通り過ぎた。滑走路はカナイマ湖のすぐ近くなので、どうやら飛行機は、旋回している模様。
ぼけてしまった写真だが、小さな川にそってヤシの木が並んでいるのがきれいなので。
着陸。
小型飛行機がたくさん並んでいる。
さすが、エンジェルフォール観光の基地、カナイマ空港だ。
金網の中が空港、外は、この近辺でただひとつ見えた土産物屋、兼、待合室。
土産物屋をのぞいてみたいが、やはりエンジェルフォールに向けて気がはやる。
トラックを改造したような車で、エンジェルフォール往きのボート乗り場まで行く。そんなに距離はないのだが、2泊分の荷物をかかえているので、車があると助かる。
陸の孤島のカナイマに、どうやって車を運んだのかと思う。多分、部品をこちらで組み立てたのだと思う。
ボート乗り場は、カナイマ湖にそそぐ滝の上にある。
途中で下車して、その滝を近くで見せてくれた。
茶色の水が怖ろしい勢いで流れていた。
まもなく車は、いくつかの小さなホテルを通り過ぎてボート乗り場に到着した。
ボートでエンジェルフォールに向けて出発 [ギアナ高地]
エンジェルフォールを見るためには、ボートで4時間近くかかる。
そのボート乗り場に到着した。
ここは、カナイマ湖にそそぐ、いくつかの滝の上にあたる。
私たちの乗るボートに2泊3日分の荷物を積んでくれている。それぞれの荷物は、各自、ビニール袋に入れている。それをさらに黄色いシートでくるんで濡れないようにしている。
ボートは2人掛けで10数列ほどあるので、私たちのグループがなんとか全員乗れる大きさだ。
ボート乗り場あたりを監視していた警察官は、銃を持っていた。
黄色いライフジャケットを着て、いよいよ、出発。
小さいテプイ(卓状台地)が見えてくる。
遠くには、頂上がでこぼこしたテプイが見える。
それにしても、思った以上に、しぶきが飛んでくる。
20分くらい乗ったところで、ボートを降ろされる。
ここからは、マユパの早瀬、というところで、客を乗せてはいけない決まりになっている。急流になっているので、危険らしい。
このあたりを歩くのも楽しい。
ボートで濡れてしまうので、ビーチサンダルを履いていたが、道が悪くないので、問題ない。
咲いている花の名前を教えてもらったり、アリ塚を観察したり、陽気に歩いていく。
クラテーラ・アメリカーナ(Curatella americana)、ビワモドキ科クラテラ属。
この花はあちこちに独立して咲いていた。気品があった。
その花。
ブルボスティリス・パラドクサ(bulbostylis paradoxa)
名前不詳。
グループの人たちは、早足で歩くので、足が短い上にカメラ遊びで道草をする私は、いつも最後尾になってしまう。
みんな、早く、エンジェルフォールをみたいのだろう。
いつもより、カラオ川の水位が低いので、長い距離を歩かねばならず、結局、40分ほど歩いて、ボート乗り場に着いた。
ところが、ボートがいない。ボートが待っているとばかり思っていたのだが。
タンニンを含んで茶色くなった水を眺めながら、ボートになにが起きたのか推理するが見当がつかない。
あるいは、場所を間違えたのでは?と素人考えをしてみたり。
川は蛇行しているが、私たちは、それをショートカットする形で直進してきているので、ボートは見えなかったのだ。
10分すぎ、20分すぎ、30分すぎ、それでもボートは来ません!!
ケイタイで情報を交換するなどという連絡手段はないようだ。
遠くの景色を撮ったり・・・
ねずみみたいな顔をした木の実を撮ったり・・・・
午後の日に輝くアウヤン・テプイ [ギアナ高地]
マユパの早瀬では、40分間、歩いたのち、ボート乗り場で30分以上もボートが来るのを待つはめになった。
ボートが遅くなったのは、ボートのエンジンの調子が悪くて、ボートを替えに行っていたとのこと。カナイマに引き返し、別のボートに荷物を積みなおして、それで、マユパの早瀬まで急行したという。ボートのエンジンの馬力は、前のより落ちるそうだ。ちょっとがっかり。ボートに座ったままというのは疲れるので、早く目的地に着きたいのだ。
今朝は、ルエパで、飛行機が来なくて1時間以上も待たされたし、ついてないのか、あるいは、南米とはこんなものなのか。
ともあれ、また出発できたのは、なによりだった。
昼食の時間はとっくに過ぎていたらしかったが、小さな滝のあるところまで行って、そこでお弁当を広げるという。
マユパの早瀬は過ぎたが、まだ急流のところもあって、ボートが大揺れに揺れた。そのときに、大波をかぶってしまって、頭から水を浴びた。ボートの底も水浸しになった。
急流でなくても、ボートの推進で飛んでくる水しぶきで、カメラや荷物が濡れてしまう。
それでも、見えてくる景色は、ギアナ高地特有の卓状台地が続くようになって、なんだかうれしい。
独立したテプイに見える山も、この辺までくると、エンジェルフォールのあるアウヤン・テプイにつながっている。
アウヤン・テプイは、東京都の23区よりも広い頂上台地を持っていて、見えているテプイは、頂上ではつながっているのだ。
遠くに平らに見える山が見えてきた。近くで見ると、でこぼこしていても、遠くからみると、平になるのだ。
よく、こんなに平な台地になったものだ。
時折、川にせり出している崖もあるが、これも、頂上は、卓状台地になっているはずだ。
幸せの泉という場所にやってきた。ここでお弁当を食べるのだ。
ボートから降りるときは、川の水の中に入ることになるので、足はもうびしゃびしゃだ。まぁ、そうでなくてもボートの中でも水しぶきで濡れていたから、あまり変わりはないのだが。
ボートからお弁当や飲み物を降ろして配ってもらう。
写真の裸の子どもは、現地ガイドさんのお子さん。一緒にきていた。
お弁当がすむと、さっそくみんな水遊びをはじめた。滝の下の大きな岩に登って、お山の大将のつもりになっている。
私は、膝まで水の中に入って、カメラ遊びをした。見慣れない花が木からぶらさがっている。
色がとんでしまって残念。これ、ナンダロウ。
ひとしきり遊んだあとは、再びボートに乗って進んでいく。
テプイの崖から滝が流れている。
こっちも滝がある。
午後の陽射しは、少しずつ傾き始め、テプイの崖を照らしている。
垂直に切り立ったアウヤン・テプイの崖は、輝いていた。
豪雨のアウヤン・テプイ [ギアナ高地]
ボートに乗って、もうどれくらい経ったのだろう。
ひとつの目安としては、カラオ川から、さらにその支流のチュルン川に入る地点は、全体の3分の2くらいになる。
もう、そろそろと思う。
右側のテプイと正面のテプイの間に入っていくのが、チュルン川のはずだ。
ところが、その方向は、白いカーテンが降りたようにすっぽりと包まれている。空から下まで白く見えるのは、雨が降っている場所だ、とグラン・サバナで教えてもらったばかりだ。
どうも行く手は雨ではないか。
右側のテプイの崖から滝が何本か流れ落ちている。あれは、テプイに、たった今、降ったばかりの雨が流れ落ちているのではないだろうか。テプイは、岩でできているので、雨が降ると、それが土に吸収されることなく、流れていってしまう。
こういう名もない滝だって、日本の滝より落差があるはずだ。
右横の崖からも滝が流れ落ちている。
行く方角は、ますます、白い幕が広がっている。青空は影をひそめてきた。
それでも時折、晴れてくるきざしもある。
だが、正面のテプイの右側は、白いまま。
一方、チュルン川方向ではなく、カラオ川本流方向は、青空もみえる。
遠くにボートが見えた。停まっている。5,6人しか乗っていない。
今まで、ボートに出会わなかったことに気が付いた。
こんなところまでやってくる人間は、やっぱり少ないのだろうか。
もしかしたら、お天気はなんとかもつかなぁ。
カラオ川本流方向も雲が増えたかな。
近くのテプイはまだ元気。
このあたりから支流のチュルン川に入っていった。
崖からは、さかんに放流が続いている。もうこれだけ降っているようだから快復しているかも。
だが、いよいよ近くのテプイも雲に覆われはじめ、ぽつぽつと雨が降り始めた。
ボートは急きょ、岸辺の上陸できそうなところをさがして、停まった。
戦闘態勢を整えるために、雨具を着るように、との指示が出る。同時に用もたすように・・・、男性は右、女性は左~~。
用はなかったけど。
私たちは、川にざぶざぶと入って岸辺に上陸する。
ライフジャケットをはずして、雨具用ゴアテックスのジャケットとズボンをはく。そうしているうちにも、どんどん雨脚がひどくなる。こんなに重装備のゴアテックスなんて熱帯で使うのかしら、なんて思っていたけど、大変役に立ちそうだ。
もともと足元は濡れているし、幸福の泉で水遊びした人たちは濡れたままだから、大雨になっても変わらないじゃぁないかと思ったりもするが、ゴアテックスは、雨避けというより、体温を維持するためには必要なのだ。普通の雨合羽では心もとない。
最後にライフジャケットをつけて、戦闘態勢完了。
再び、ボートが出発したころには豪雨になった。
なるべく雨にあたらないように、ひざをかかえて下を向いている。
カメラはビニール袋に入れて、水がはいらないようにしまいこむ。
猛烈な雨。あ~、神様、仏様・・・・・
エンジェルフォールが見えた [ギアナ高地]
1時間近く、たたきつけるような雨の中でうずくまっていた。もうずっと降り続けるのではないかという気がした。
だが、雨は止んだ。
こんな中でもボートのエンジンは動いていて、船頭さんは、ちゃんと舵をきって進んでいた。
あたりは、もやっとしている。
深い山奥の空気に満ちている。
あの豪雨をくぐりぬけた安ど感が湧きあがる。
雲は、まだテプイの上にかぶさったままだ。
往く手のほうのテプイの壁は、滝が何本も流れている。
壁のあちこちに穴でも空いているように水が噴出している。さっきの雨が流れ出しているのだろう。
水なのか、岩の模様なのか判然としないほどの水が流れている。
これは、確かに水だ。岩から水が噴き出して滝になっている。
一段と高いところから、流れてくる滝。
このときは、気が付かなかったが、これこそ、エンジェルフォールではないか!
だが、滝よりも、ボートは、岩の難所にさしかかっていて、そちらのほうが気になる。
岩と岩の間をどうやってすり抜けるのだろうと思いながら、全員が、かたずをのんでいたはずだ。
ボートは岩にぶつかりながら、なんとか抜けていった。
そして再び、アウヤン・テプイの壁の滝に目が釘付けになる。
やっぱり、遠くに見える、あれはエンジェルフォールではないか。
近くの壁からも、滝がいくつも流れている。
少しずつ、エンジェルフォールが近づいてくる。
やっと、来たのだ。
はじめてのハンモック [ギアナ高地]
ボートで4時間ほど、豪雨の中を抜けて、ようやくたどりついたキャンプ場。ここからエンジェルフォールまでは、1時間半ほどのハイキングになる。明日の早朝に出かけることになっている。
キャンプ場に着いたころは、もう薄暗くなりかけていた。キャンプ場の下の河原まで行けば、エンジェルフォールは見えるのだが、雨の後の薄暗い中では、写真も撮れないだろう。
それより、ボートで雨に打たれ、水しぶきにあたって、全身びしょ濡れの状態をなんとかしたい。
濡れて重くなった、ぶあついライフジャケットをはずす。次に、ゴアテックスの雨具を脱ぐ。雨具の下は、それほど濡れていなかった。
びちゃびちゃのビーチサンダルと靴下を脱ぎ、乾いた靴下とハイキングシューズに履き替える。靴下も靴も、がっちりとビニールでくるんで、ボートに積んでくれていたので、濡れていない。
自分で持っていたリュックサックは、ビニールでくるんでいなかったので、中のタオルなどじっとりとしめってしまった。
濡れたものをどこかで乾さねばならない。
現地ガイドさんたちは、夕飯の用意で忙しい。添乗員さんや、そのほかのスタッフの方たちは、ハンモックを吊るのに忙しい。私たちは、びしょびしょ状態をなんとかするためにうろうろ。
今夜は、ハンモックで寝ることになる。これもどうなるのか、さっぱり見当もつかなかったことだ。
ハンモックは、洗濯したものを、ボートに積んで持ってきたそうだ。これはスゴ~イ。うすいタオルケットもある。
ハンモックが吊られると、場所の割り当てがある。自分の場所が決まると、乗り心地を試したり、ゆらしてみたり。ハンモックでの寝方は、説明があったので、そのとおりにしてみた。斜めに寝るといいんですって。初めてのことなので、ものめずらしさも手伝って、時間がかかる。
ハンモックには蚊帳がついているので、虫の心配はなさそうだ。チバトンのロッジでは、夕飯の間中、蚊取り線香で部屋をいぶしていたことを思い出した。
ハンモックの蚊帳に入ってしまうと、外からはほとんどみえなくなってしまうことも新しい発見だ。
ハンモック騒動や、荷物の置き場所づくりでもたもたしている間にも、夕飯ができた。
まずはビールで乾杯。メインは鶏肉の煮込みだったと思う。コックさんがいるわけでもなく、カナイマからボートで一緒に来たスタッフの方たちが、すべてをやっている。
みなさま、それぞれ荷物に入れてきた漬物やおつまみ類をテーブルに並べて、おいしくいただいた。
暗くなった中、裸電球がぶらさがっているだけで、カメラはうまく写らなかった。
食事が終わったら、今度は寝る準備に入るが、これも、ハンモックがはじめてなので要領をえない。
シャワーはあるが、水だけなので、ハンモックの蚊帳の中で清拭用の市販品を使って体を拭いた。綿の上下に着替えるとさっぱりした。夜、寒いといけないので、裏がフリースの真冬用ズボンとダウンジャケットを綿のパジャマの上に着て寝ることにする。これは大正解だった。朝まで温かく、一度も目が覚めないで、ぐっすりと寝られた。
夜になると、電気がつかなくなるのも心配していた。懐中電灯だけで、トイレに行かねばならない。で、懐中電灯もすぐに取り出せるように貴重品とまとめて袋に入れ、枕にする。だが、結局、ハンモックで横になったとたんに眠ってしまい、朝まで起きなかったのだ。
結局、行くまであれこれ心配していたことが、あっけなくクリアできてしまった。
さて、いつもは、モーニングコールで目覚めるのだが、この日は、モーニングコールはなかった。
そんなのなくてもみんなが起きだすから目が覚めてしまうのだ。
で、何時なのかわからないけど、明るくなったら起きてご飯を食べるという自然の中にふさわしいスタイルになった。
ご飯を作らなくても、もうできているというのはありがたい。
おなじみになった、トウモロコシ粉でできた焼き立てパンが、熱くておいしい。コーヒーにハム、チーズがあれば十分だ。
明るくなったので、ハンモックを撮っておこう。
向こうのオレンジ色のは、ライフジャケット。濡れたので乾している。
青色のが私たちの蚊帳のついたハンモック。
赤色のは、来た時から吊ってあった。
私たちのほかに、5,6名の宿泊者がいたので、その人たちが使っていた。
エンジェルフォールに向けて、ハイキングを開始したのは、朝の6時半だった。
また戻ってくるので、水とカメラとゴアテックスの雨具だけを小さなリュックに入れて出発した。
エンジェルフォールは厚い雲がかぶっていて、下のほうが少し見えるだけだ。
なんて気持ちいいんだろう。
エンジェルフォールまでハイキング [ギアナ高地]
朝の6時半にキャンプ場を出発する。
ハンモックで寝たとはいえ、みなさま、ぐっすり無事眠れたようだ。慣れれば、案外快適ではないか。
南米の暑い地域では、みんな、ハンモックに寝るというので、経験してみることは良かった。
昨日、同じキャンプ場にいた人たちは、私たちが出発した同じころ、ボートでカナイマに戻ってしまった。結局、今、エンジェルフォール直下のキャンプ場にいるのは、私たちだけということになる。
エンジェルフォールは雲に包まれて下のほうしか見えていなかったが、雨でなかったのはなによりだ。
ラトン島のキャンプ場からは、またボートで5分ほど、対岸に渡った。そこからハイキングになる。
歩き始めてすぐに、また川を渡ることになる。今回は、ハイキングシューズのまま、岩伝いに渡っていけた。水量が多い時には、ハイキングシューズを脱いで、川を渡ることになるそうだ。
昨日の夕方、猛烈な雨が降ったので、水量はかなり増えているはずなのだが、やはり、今は雨季の盛りを過ぎているため、全体的に水量は少ないのだろう。
現地ガイドさんが、植物の説明をしてくれる。これはありがたい。
アンスリウム(サトイモ科アンスリウム属)
朝の光の中の熱帯雨林が気持ちいい。
これは、マナレ、とガイドさん。
アラセア(サトイモ科)
道がけわしくなってくると、とてもカメラで楽しんではいられなくなる。やっとみんなに追いついたと思ったら、みんなは、出発するので、結局、休憩が十分とれない。
足元は気の根っこが這っていて、普通には歩けない。ギアナ高地は、岩盤でできているので、植物の生える土は少ない。植物は、地中深く根を下ろすことができず、横に根を這わせることになる。
木の根は、すべりやすく、一歩一歩注意して歩かねばならないので、景色どころではなくなる。
それでも足元の花は、記録にとどめたい。
これは日本でもよくみる、カラー。これもサトイモ科なんだそうだ。オランダカイウ属。
だれもいないこんな山奥にも道標があった。エンジェル滝の展望台はこちらとある。
ほどなく展望台に到着した。
相変わらず、上のほうは、雲でおおわれていた。でも神々しさが感じられる。
滝壺がない滝と書いてあったので、本当かどうか、よ~~く見てみたのだが、よく見えない。水は霧のようになって下にそそいでいる。それが、川となって、展望台のほうに流れてきている。
エンジェルフォールの水を集めた滝壺 [ギアナ高地]
チュルン川のラトン島にあるキャンプ場を出て、エンジェルフォールの展望台まで、1時間半ほど歩いてきた。最後の登りはきつかった。
しばらく展望台の岩場に座って休んだ。エンジェルフォールは上のほうが雲で隠れてしまって見えない。
エンジェルフォールから流れてくる川や滝をみているだけでも疲れがとれる。
2分ほど経つと、エンジェルフォールのてっぺんがうすく顔を見せた。
写真をみると、フェニックス(不死鳥)が飛んでいるように見える。何千万年も、この姿なんだろうか、まさに不死鳥だ。
今のうちに、滝の落ち口を撮っておこう。
そして、滝壺があるかどうかも、ふたたびみてみよう。
やっぱり滝壺はないですね。
いったん、霧となって空中に舞いあがった水が、ふたたび、地上に下りて川になっている。
あとちょっとで滝全部がみえそうだ。上の写真から8分後がこれ。
さらにその1分後。
雲がどんどん変わっていくので、じっとみていても飽きない。
展望台からさらに5分ほどエンジェルフォールに近づく形で、展望台を下りていくと、エンジェルフォールの滝の水を集めた滝壺があった。
何人かの方が、水に入って泳いだりしていた。
ここからエンジェルフォールが見えるはずだと思ったが、雲にかくれているのか、見えない。
滝壺から下流方向の眺め。
みんなが滝壺で遊んでいるうちにと、植物を眺めながらゆっくり展望台まで登っていく。
葉っぱの先が櫛みたいに切れている植物、これははじめて見た。
原種のパイナップルみたいな植物だ。
これは、キャンプ場からの山道にもあった花だ。
展望台に戻ってくると、エンジェルフォールは、あと一息で姿をあらわしそうだった。
刻々と変わるエンジェルフォール [ギアナ高地]
エンジェルフォールは、ジミー・エンジェルさんという人が1937年に金鉱脈をさがすために飛行機で飛んでいて見つけたので、エンジェルフォールと呼ばれている。エンジェルさんは妻と地質学者2名の計4人で、エンジェルフォールのある卓状台地であるアウヤン・テプイに着陸したが、離陸できなくなり、徒歩で、アウヤン・テプイを11日間かけて下りてきたという。
ということは、アウヤン・テプイは完全な卓状台地ではなくて、どこか、下に降りることができるようなところがあるということだ。
落差は979mで世界一だ。
アウヤン・テプイの標高は、2560mだから、現在、私たちのいる地点は、だいたい、標高1600mということになる。
落差は約1kmというが、下から見上げた限りではそれほど高くは見えない。
それより、山の頂上から滝が降り注いでいる異様な光景と、滝の山肌の、たった今、削り取られたばかりのような荒々しさが相まって、その姿だけをとっても世界一の名にふさわしい。
頂上付近の鋭い岩が何億年も前からそのままだとは思えない。
17億年前、ここにはゴンドワナ大陸があった。そして、ほとんど動いていないそうだから、地球最古の台地なんだそうである。柔らかい岩は削られ、固いところだけが、現在残っているという。
上の写真から1分後。
さらに1分後。
滝の水は、岩の間から噴き出しているように見える。
今にも落下しそうな岩、これが何億年も同じなんだろうか。
上の写真からさらに1分後。
さらに1分後、ふたたび、エンジェルフォールは雲に閉ざされた。
滝の下は、暴風雨状態らしい。近づく道はなさそうだった。あったとしても、観光客は危険すぎてとても入れないだろう。
滝の下のほうも、そのときどきによって、様子が、変わる。霧ばかりのように見えたかと思うと、次には水のすじが見えたり。
上の写真からさらに1分後。
さらに1分後。
見えたかと思うと隠れたり、えんえんとこの繰り返し。
朝の6時半に出発したというのに、もう9時半になっていた。
滝の展望台あたりで1時間以上も過ごしたのだ。
この間、展望台は、他のグループはだれも来なかった。おかげで狭い自然の岩の展望台でのんびりできた。
キャンプ場に泊まると、こういうゆったりした過ごし方ができる。
だが、もう戻る時間になったようだ。
10時近くなって、光は一段と明るくジャングルを照らしている。
下の川まで戻ってきたときは、エンジェルフォールは、雲でかくれたままだった。
だが、あっというまに雲がとれていった。
記念に山頂付近をもう1枚。
滝の直下でみるのとは角度が少し違う。
ラトン島キャンプ場 [ギアナ高地]
エンジェルフォールの展望台から下りてきて対岸に渡るボートに乗ったときは、エンジェルフォールがよく見えた。
滝の直下でみたときは、岩肌の荒々しさが精悍な印象を醸し出していたが、ボートから見ると堂々とした威容の山になる。やはり頂上から滝が流れ落ちている不思議さが残っている。
エンジェルフォールはエンジェルさんが発見したことからつけられた名前だが、先住民は、古い昔から、この滝を知っていて、チュルン・ヴェナと呼んでいたそうだ。
先住民が名前をつけて呼んでいたにもかかわらず、後から来た人たちが、新発見といって、別の名前で呼び始めることを、ベネズエラ政府がなぜ黙認しているのか、まったく解せない。
日本の富士山をコロンブスみたいな人がやってきて、コロンブス山と呼ばれるようになるとして、日本人は許せるだろうか。
エンジェルフォールのあるアウヤン・テプイは、先住民であるペモン族の言葉で、悪霊のテプイという意味だそうである。テプイは卓状台地のことで、ペモン族の言葉では、神々の家という意味だそうだ。だから、アウヤン・テプイとは悪霊の棲む山という意味なんだろう。
オリノコ川をさかのぼってくると、カロニー川、さらにカラオ川、チュルン川とたどっていって、エンジェルフォールのところまでたどりつける。だからボートさえあれば、昔の先住民もこの姿をみたことだろう。
5分くらいでキャンプ場に到着した。これから昼食だ。
キャンプ場の登り口から川を見下ろすと、明るい昼の陽射しに川が輝いていた。
川の色がなぜ、茶色かという説明で、タンニンを多く含んでいるから、と書いてある。だが、なぜタンニンを多く含んでいるかの説明がどこにもない。
なぜなんだろうとずっと気になっていたが、ついにひらめいた。川が茶色の理由、タンニンを多く含む理由とは、こうだ。
ギアナ高地は固い岩盤でできているから、雨が降っても地中に沁みこむことなく、すぐに流れていってしまう。このときに、植物から出ているタンニンも一緒に流されてしまうので、川の色が茶色になるのだろう。
日本だと、山に降った雨は、いったん地中に吸い込まれ、分厚い地層で濾過される。そして清流となって川に流れ込んでいく。川の水が茶色いのは、土がないからなんだ。(この説はあっているのだろうか)
土壌が豊かであることが、いかに大切かが、よくわかる。
ギアナ高地は、川の水が、酸性になり、大きな魚は棲息できないそうだ。したがって、魚を食べる鳥も少なく、鳥を食べる動物も少なくなるそうだ。
そういえば、鳥が少ない。エンジェルフォールのような、奥地にきても野獣の心配がほとんどない。
これに土壌がやせているとなると、沈黙の世界に近くなる。
さて、キャンプ場に着くと、昼食の用意がすっかりできていた。
スパゲッティと別にミートソースが出てきた。
スイカは、どこに行っても定番だ。
エンジェルフォールまでの旅程をこなすと、どうも気が抜けてしまう。旅行の最大イベントだったのだから。
荷物をまとめて帰る準備をする。靴もハイキングシューズから、ビーチサンダルに履き替える。
ハンモックで現地ガイドのお子さんが遊んでいた。
写真の小路は、ボート乗り場からキャンプ場への道。ここでも根っこが地面の上を這っている。
植えたのではない自生の花もあった。
葉に大きな特徴のある植物は、よくみかけたが、結局、名前はわからない。
原種パイナップルという感じの植物もよくみかけた。
キャンプ場の林の中にいると、確かに、木と木の間にハンモックを吊って午睡したくなる。
私たちの荷物もボートに積まれた。
出発だ。
ここ、ラトン島には、キャンプ場がいくつかあって、それぞれ、旅行会社が管理しているようだ。エンジェルフォールへの山道の途中でも、2軒ほど屋根があるだけの小さなバラックがあったが、使われている様子はなかった。
今朝、エンジェルフォール直下にいたのは、私たちだけだったということになる。
エンジェルフォールへのツアーは日本からでもいくつも組まれているが、ほとんどは、カナイマからの日帰りになっている。そうなると、エンジェルフォールに到着するのは、早朝4時にカナイマを出発したとしても、ボートで4時間、歩いて2時間近くかかるから10時になる。そして、すぐにカナイマに戻ることになる。それに往復8時間も背もたれのないボートに乗らねばならないので、体力的にも厳しい。
やっぱりハンモックで1泊してゆっったりとした旅程でよかったと思う。
エンジェルフォールまで舗装道路を作って観光客を誘致しようと思えば、すぐにでもできてしまうと思うが、ベネズエラ政府が原油に頼っていて新産業への投資を怠っているおかげで、大自然が、そのままの姿で残っているともいえる。
だが、今の原油安は、原油に頼っている各国の経済を脅かしている。ベネズエラが原油安で、破たんしたとすると、米国資本がどっとなだれこんできて、ギアナ高地は、一大観光地として大開発がされてしまうだろう。
そうなる前に、ベネズエラ政府には、原油に頼らない経済基盤を早急に作り、かつ自然保護にも注力してほしいものだ。観光客を呼び込むために美人を作ろう、などというピントのずれたことを言っているどころではないのだ。
さて、
ボートから見えるエンジェルフォールには再び雲がかぶさっていた。
快適な川下り [ギアナ高地]
エンジェルフォールの見えるラトン島のキャンプ場を後に、ボートはカナイマへ向けて下っていく。下りは、エンジンもそんなに頑張らなくていいのか、快適に進んでいく。
お天気も上々。
大きな岩の間をすり抜けるのも行くときに経験しているから、怖くない。
後ろを振り返ると、エンジェルフォールの見納めの姿があった。
この辺は岩が多い。
ボートが上ってくる。めったにボートとはすれ違わないので、両方で手を振る。
乾季には、ボートはキャンプ場まで行くことができないときがあるそうだ。
こういう浅瀬をみると納得する。
アウヤン・テプイの壁もそろそろ見納めになる。
いくつもテプイがあるように見えるが、全部つながっていて、テプイの上に降った雨が、このチュルン川に流れ込んでいる。
岸辺に草が生えているのは珍しい。行くときは豪雨だったあたりなので、よく見ていなかったのだ。
ボートは砂地に乗り上げて停まった。ここで休憩になる。また、男性は右、女性は左、となる。
上を見上げると、クルシアが咲いていた。
ピンクの混じった花びらは、かわいい。ギアナ高地を代表する花だ。
雷と豪雨のあとのご褒美 [ギアナ高地]
ボートはチュルン川を快適に下っていく。
アウヤン・テプイの壁から滝がさかんに落ちている。
こちらにも滝が。なんか、悪い予感。どこかで大雨が降っているのではないかしら。お天気も曇ってきたし・・・
あそこもテプイから放水している。テプイの台地に雨が降ると、水を吸収する土壌がないので、一気にテプイの下に向かって流れ始める。
午後の光が壁にあたりはじめて、ちょうどいい時間なのに。
奇妙な山・・・と観察するまもなく、
あっというまに雨が降り始めた。雨の予感はあったが、いきなり降り始めたのだ。しかも、今度は雷まで鳴っている。
ゴアテックスの雨具上下を着ていたから、よかった。雨が当たらないようにリュックをかかえて顔を下に向ける。
雷の大音響がカラオ川の谷間に響き渡る。アウヤン・テプイの絶壁が、雷鳴をはねかえして実際よりも大きく聞こえることもあるだろう。
雨は、往きに出会ったのよりもっとひどい。
雷がボートを直撃しないことを祈った。
30分以上の間、激しい雷と豪雨は続いた。このような状況の中で逃げ先がなく濡れっぱなしというのは初めての経験だ。
雨が少し落ち着いたころ、マユパの早瀬に着いたので、全員、ボートを降りて歩き始めた。
往きもそうだったが、マユパの早瀬は、危険なので、観光客を乗せて、ボートで通行することは禁止されている。
雨の降る中、ビーチサンダルで40分ほど歩いた。傘などさすことも思い浮かばないほどボートで濡れていたから雨は気にならなくなっていた。カメラはビニール袋に入れてリュックにしまっているから、ただひたすら歩く。10cmを超える深さの水たまりもあるが、避けてもいられなくて、とにかく真っ直ぐ歩く。歩くことだけに専念したのもなかなかできない経験だった。
廃屋が見えてきたころ、雨は止んだ。ボート乗り場はもうすぐだ。
この廃屋は、マユパの早瀬を歩く中で、1軒だけの家なので目印になる。
廃屋の窓に巨大な蜂の巣が見える。
ボートに20分ほど乗って降りたのは、アナトリー島というところだった。往きのボート乗り場ではない。
アナトリー島はカラオ川がカナイマ湖に注ぐ入口のところにある。
そこは息を呑むほど、澄み切った景色がひろがっていた。雨のあとなので、空気が澄んでいたからだろうか。
遠くにテプイが見える。
エンジェルフォールに行くときも、豪雨に会い、ようやく雨が止んだと思ったときに、エンジェルフォールが姿をあらわした。あのときも、豪雨に打たれた後だったので、ようやくたどりついた、という安ど感がエンジェルフォールを見た感動を一層大きくしたのだった。
帰りも雷と豪雨で、この世の終わりかと思うほど怖かったが、雨が止むと、太古から続いているような静けさに包まれた景色が広がっていた。
この風景は、全身びしょ濡れになってたどりついたご褒美かもしれない。
カナイマ湖のサポの滝とアチャの滝 [ギアナ高地]
エンジェルフォールの麓からボートに乗り、下ってきて、カナイマ湖にあるアナトリー島に到着した。カラオ川に沿って歩いていくとサポの滝の上に出る。
水量が少ないのか、岩がむき出しで、真ん中のほうまで歩いて行ける。
上流の方向を振り返ると、遠くにテプイが見える。
ここから滝の下のほうまで下りていき、滝の裏側を歩きに行く。
下の写真は、滝の裏側を歩いてきて、反対側に抜けたところ。カメラはまとめて防水の袋に入れて持ってきてくれた。
みんな記念写真を撮っている。
水量が少ないせいか、滝の裏は難なく歩いてこれた。グラン・サバナのユルアニの滝では、膝の上まで、川の中につかって、水圧に耐えながら手をつないで、歩いたが、ここでは水の中を歩くこともなく、水は降り注いでくるものの水圧を感じることもなく、一人ずつ歩けた。しかもロープを張り巡らしていて、つかまって歩けばかなり安全だ。
写真は、滝の裏側がみえる滝のはしっこ。ロープが見える。
水の流れがあるところにも水草が生えていて、緑がきれいだ。水量が多いときは緑はみえないだろう。
サポの滝の裏側歩きは、快調にこなした。
これで、今日の観光メニューは終了した。後は、ホテルに行くだけ。
アナトリー島を横切る形で、サポの滝とは反対側まで、1.5kmほど歩いていき、そこで、ホテルに向かうボートを待つ。
ボートを待っている場所から、カナイマ湖に注ぐ滝がいくつか見えた。
ちょうど観光客を乗せたボートが出発するところだった。裸のインディアンみたいな格好の男性は、観光客のためにこういう扮装を見せているらしい。
アチャの滝はよく見えたので、記念写真を。
特に、真ん中の流れが、水草のおかげですだれのようになっていて美しい。
滝に残照があたってきれいだったのだが、そのうち薄暗くなってくる。でもボートは来ない。こういうことは、もう慣れっこになってきた。
ようやく来たボートに乗った時は、アチャの滝も夜のとばりが降りる寸前になっていた。
アチャの滝のお隣は、ワダイマの滝かなぁ。
続いて、コロンドリナの滝、ウカイマの滝となるはずだが、小さい滝もあって、どれがどれだか、よくわからない。
カナイマ湖の湖畔のホテル [ギアナ高地]
朝、ハンモックで目覚め、エンジェルフォールまでのハイキング、ボートでカナイマ湖までクルーズ、サポの滝の裏側歩きと、長い1日を過ごし、ようやく、今夜泊まるホテルまでやってきた。
ボートから見える、真ん前がホテルだ。
写真右上の黒い屋根の下に明かりがついているところが、テラスになっている。
砂浜に続いて、平屋の長屋が並んでいるのが、ホテルの部屋になる。ホテルというよりロッジという感じだ。
ボートが砂浜に乗り上げて、到着だ。
まずは、テラスまで階段を登っていく。
とてもいい眺めだ。
なんでも、カナイマで最高の場所にあるホテルだそうだ。
国営なので、一番いい場所を確保しているとか・・・。
国営でない、いいホテルも湖畔にあって、そこは滝の真正面にあるから、どちらがいいのかわからないが。
部屋はまずまずだ。カーテンやベッドカバーが豹柄、壁は緑に塗られていて、ヤモリみたいな大きな模様が入っている。こういうインテリアも珍しい。
ボートで雨に打たれ、サポの滝の滝くぐりでも濡れてしまった衣服をなんとかしなければならない。
ビーチサンダルも靴下も濡れている。
エンジェルフォールのキャンプでは電気が使えなかったから、カメラの電池の充電もしなければならない。
濡れた衣服を着替えて食堂にいくために外に出ると、また雨になっていた。これ以上濡れてももう着替えがない。スーツケースはないのだから。エンジェルフォールとカナイマの2泊分のものしか持ってきていないのだ。あ~ぁ。
夕飯はビュッフェスタイルだった。なので、毎晩食べていた鶏肉はやめて野菜中心にした。
なによりビールがほしかったが、ビールはなかった!!!
カナイマは陸の孤島になっていて、交通は飛行機しかないので、重たいビールは運べないと言われたが、ちょっと信じられない。
仕方がないので、これまた毎晩飲んでいたラム酒のコーラ割りを呑んだ。
ラム酒はベネズエラではどこでも手に入れることができる。そのまま飲んでもおいしいそうだが、コーラで割って飲むのが、薄める場合は定番らしいので、いつもそうしていた。日本でコーラなど飲んだこともないが、以前ウユニ湖に行ったときに、標高が高いところではコーラがおいしいよ、と教えてもらって飲んだらおいしかったのだ。
デザートがけっさくだった。ムースにプラスティックのスプーンをつきさしている。
ともあれ、温かいお湯のシャワーもあるし、消灯の制限もなく、ハンモックでなくベッドで寝たのは幸せだった。
一夜明けて、すぐに外に飛び出した。ドアを開けるともう、すぐ砂浜に続いてカナイマ湖が広がっている。
雨は止んでいた。いくつもの滝が白く見える。
滝とは反対方向の砂浜。
カメラを思い切り望遠側にして、滝の様子をみてみる。しぶきがすごい。
浜辺には、犬もきた。ゆったりとした時が流れている。
この後ろを振り返ると、泊まっている部屋。長屋方式でドアを開けると砂浜だ。
昨夜の雨のしずくを残したままの花。
さて、今日は朝食の前に、30分ほど、カナイマ湖のクルーズをやることになっている。昨日の夕方遅くなってしまったので、ボートで帰ってきただけだったからということで、追加してくれたそうだ。
また、ライフジャケットをつけて、ビーチサンダルでボートに乗り込む。
ボートから泊まった部屋を撮っておこう。
カナイマ湖のシンボルだという、湖の中にある3本のヤシの木も記念撮影。
早朝のカナイマ湖クルーズ [ギアナ高地]
朝食前に、ボートでカナイマ湖クルーズに行った。
浜辺で滝をみたときも、もやっとしていてよく見えなかったが、近くまで行っても、水蒸気が空中に大量に飛び散っていて、ベールがかかったようだ。
湖面には白い泡がいっぱい。これはサポニンだ。ギアナ高地の水辺はどこでも泡立っている。水がサポニンを含んでいるから、というのが、泡の原因らしい。なぜ水がサポニンを含んでいるのかは、わからないが、例によって憶測すると、岩でできているギアナ高地は、土壌がなく、水分を吸収することなく、そのまま流れていってしまうので、浄化作用が行われない。したがって、植物が排出するタンニンやサポニンもそのまま川に流れていってしまうのではないか。
さて、滝から出ている水蒸気が昨日の夕方見たのとは、様子が異なる。
一体、どうしたことだろう。
しかも、逆光ではないか。
なにが起きているのか、どこに滝があるのか、よくわからないほどだ。
早朝の滝めぐりは神秘的。
夕方見るのと、早朝見るのとで、なぜこんなに違うのか。例によって憶測すると、水しぶきはいつも同じように発生しているが、逆光により、水しぶきだけに光があたるので、水しぶきが強調されてしまう、ということかしら。
これは、昨日、すだれのように細いひも状の繊細な流れを見せていたアチャの滝だ。なんという変わりようだろう。逆光のせいだけでなく、水量も昨日よりは、はるかに多い。そういえば、昨夜は雨が降っていた。
これもアチャの滝を反対側からみている。逆光から少し回復すると色彩が戻ってくる。
こちらもすごいことになっている。
もう雪崩状態ですね。
手前はアナトリー島。その奥に滝が並んでいる。
滝には名前がついているのだが、もうさっぱりわからない。
大洪水の図。
アチャの滝をアナトリー島越しに眺める。
なんだか、不思議な逆光のモノトーンのクルーズだった。
カナイマ湖の朝 [ギアナ高地]
ホテルの食堂に続くテラスからは、さきほどまでボートから眺めていた滝がよくみえる。
やはり昨日の夕方に見えた滝とは様相が異なっていて、白い水蒸気に包まれている。
滝を眺めながら、ゆったりと朝食をとるのもなかなかいいものだ。
朝食のあとは、荷物を片づけて出発の準備をしなければならない。もう、帰国に向けて飛行機を乗り継ぐだけだ。
木に張り付いているエアープランツ。
クルシアは日本の植物園でまた見ることができるかもしれない。
滝の向こうのテプイが姿をあらわしつつある。
滝の下に、観光のボートが出ている。
向こうのテプイが長く続いている。
そのテプイの切れたところが湖の左側に見える。
いよいよ出発だ。
ホテルから空港までは歩いてわずか5分。
途中でまたクルシアを見かけた。このクルシアは、今までみたのとは違って、ほんのりピンクだ。
ホテルのゲートをくぐって記念写真。
スペイン語、英語に続いて日本語でようこそ、と書いてあるから日本人も多く来るのだろう。今回は日本人には会わなかったが。
空港の手前に咲いていた花。
あっというまに空港到着。小さい飛行機が並んでいる。
空港のお土産屋さん。カナイマでお土産を売っているのは、ここだけのようだ。
ここでは米ドルが使えたので、はじめて買い物をした。
ハスペの滝の石で造られたペンダントをいくつか買った。
カナイマに来る観光客は、エンジェルフォールまで行かないで、遊覧飛行でエンジェルフォールを見るだけという人もいると思う。下の写真の人たちは、その軽装から推測すると、どうもその部類のようだ。
一方、日本からのツアーのほとんどは、エンジェルフォールまでボートに乗ってでかけていき、さらにハイキングでエンジェルフォールの真下まで行く。
ハイキングなしでエンジェルフォールが見えるキャンプ場まで、というツアーもあるらしい。
子ども連れだと、カナイマ湖だけでも楽しく自然を満喫できると思う。
空から見たエンジェルフォール [ギアナ高地]
カナイマ空港を2台の小型飛行機に分乗して飛び立った。プエルトオルダスへ向かう。
グラン・サバナのルエパからカナイマにくる途中でエンジェルフォールが見えるはずだったのが、雲に隠れて見えなかったため、エンジェルフォールの遊覧もしてくれるそうだ。
エンジェルフォールはプエルトオルダスへの空路からは、はずれている。ボートでカナイマからエンジェルフォールまで往復したが、それと同じように飛行機で飛んでくれる。
カラオ川が波だってみえるところがある。あれはマユパの早瀬だろうか。
ブラックウォーターと呼ばれるカラオ川の水も砂浜のところこそ、茶色だが、他のところは空の色を映して青色だ。
グループの乗った飛行機が近づいてきた。パイロットさんたちが大サービスをしてくれる。
しばらく並んで飛んだ。
すぐ近くに寄ってきて接触するのではないかと怖ろしくなるほどだ。
テプイの谷間に入っていくと、川が蛇行しているのが見える。あれはきっとチュルン川だ。
あの川をボートで上っていったのだ。
突然、エンジェルフォールが目の前に現れた。
ボートでは4時間もかかったところを飛行機だと20分もかかっていないと思う。
下まで全部見える!!
写真に窓ガラスの映り込みが入ってしまったが、記念写真なので。
世界一の落差979m。アウヤン・テプイの標高は2560m。
エンジェルフォールの展望台も、遊んだ滝壺もみえるはずだが、判別できない。
近くから撮った最後の写真。
下から見上げていたときは、山の頂上から滝が流れているようにみえたが、アウヤン・テプイと同じ高さからみると、テプイの水を集めて滝になってもおかしくないことがよくわかる。
滝が遠ざかって、今度こそ、本当に見納めとなった。
写真左に白く細くみえるのがエンジェルフォール。
エンジェルフォールはアウヤン・テプイの谷間の奥深くにあるので、またテプイの谷間を引き返してくる。
テプイがまるで城壁のようだ。これでアウヤン・テプイも見納め。
まだまだあるベネズエラの絶景 [ギアナ高地]
飛行機は、中世の城壁のようなアウヤン・テプイを抜けていく。
チュルン川はテプイの谷間を抜けたあたりでカラオ川に合流するはずだ。
写真の川がどちらの川かは判別できない。だが、ボートで往復した川であることは確かだろう。
ここを川に沿っていくと、カナイマに出るが、飛行機はこの辺で、プエルトオルダスに向かう。
下界の様子が、今までとは様相が違ってきた。
まず、川の色が違う。テプイから流れてくる川は、ブラックウォーターと言われる黒っぽく見える水が流れている。ところが、今見えている川は、泥の色だ。
小さい川のようだが、氾濫したのか、流域に湿地帯らしい水たまりや池がある。
拡大してみても、人が住んでいる気配がない。
川の泥の色、コバルト色の池、水が干上がった砂地、森などが入り交ざった風景は、キャンバスに絵を描いたようだ。
しばらくすると、今度は息を呑むような素晴らしい景色が広がってきた。
大きな湖に島や半島が複雑に点在している。道路も民家も見える。それに、また火事だ。
拡大してみると、結構広い範囲で燃えている。これもペモン族が火を放って野焼きをしているのだろうか。
戦国合戦の図でもみているよう。
火事さえなければ平和な美しいところなんだけど。
水量が少ないためか、湖の底の砂地が露出していて、それがまた絵のようだ。
こんなに美しいところは観光地に違いないと思って調べてみたが、湖の名前すらわからない。でもグーグルマップを丹念にみていくと、〇〇公園、と書いてあるところがいくつかあったから、地元では景勝地なんだろう。
ここの位置は、ギアナ高地をぐるりと回って流れてくるカロニ川がオリノコ川に合流する手前になる。地図で見る限りでは、カロニ川の川幅が大きくなって湖になっているようだ。
カロニ川は、ロライマ山やグラン・サバナの滝からの水や、エンジェルフォールのあるアウヤン・テプイの滝から流れてくるカラオ川の水が注ぎこむ川だ。言ってみれば、ベネズエラでのギアナ高地に降る雨を全部集めた川なのだ。
ギアナ高地はガイアナやブラジルにもまたがっており、ブラジル側のギアナ高地で降った雨は、アマゾン川に合流していく。
島になっているところを拡大してみると、水量が多くなっても水没しないところは、草地になっていて、木も生えているが、木のないところで赤っぽくみえるのは、砂地だと思う。水量が多い時は水没するのだろう。車が走った後も見える。
旅行ガイドブックの「地球の歩き方」をみても載っていない。ネットで検索してもよくわからない。
あるいは、地上では空からみるほど美しくないのだろうか。
写真手前は砂地、向こうのほうの緑は、水量が多いときも島を形成しているところだろう。瀬戸内海と同じようだ。
えんえんと続く半島や島。
ちょっと緑が濃い半島を拡大してみると、はっきりと道路がある。民家はみえない。
カナイマからエンジェルフォールを回って、プエルトオルダスまでの間、思いがけない絶景を30分ほど楽しんだ。ここは地上を4WDで走ったり、ボートで回ったり、泳いだりできそうだから、行ってみたいものだ。