ロサンゼルスの朝食を終えると、もう成田行きの飛行機に乗るだけになる。
ロサンゼルスの空港ロビーは来た時とは異なる場所で、見覚えがなかった。
座席は通路側。
往きは羽田発、帰りは成田着というのは初めての経験だった。いつもは空港まで車で行って、車の1泊が500円くらいの安いところに停めていたのだが、そういうこともできず、スーツケースを別送し電車を使った。羽田の国際線発着が多くなって便利になったのは、いいかもしれないが、便によっては今回のような不便も発生する。
さて、
今回のツアーの主な行先は、下記地図の〇のところ。
青い〇はガイアナのカイエトゥールフォール、
緑の〇はロライマ山、グラン・サバナ、
紫の〇はカナイマのエンジェルフォール
赤の線で囲まれたのが、ギアナ高地の地質を持つところ。
黒い線は国境。
こうしてみると、旅行では、ガイアナからブラジルを経て、ベネズエラに入ったのだが、ギアナ高地の真ん中をぐるっとまわっただけで、そのほかには、行っていないことがわかる。
ベネズエラの西側と南側にもギアナ高地と同じような特徴を持つ風景がひろがっているはずだが、そのあたりの情報は、よくわからない。
ということは、まだまだ未開の知られざる絶景があるのではないか、という期待が湧きあがる。
いつか、そちらにも行ってみたいものだ。
今回は、ついに一眼レフを持っていかなかった。ちょっと機能が多めの普通のデジカメを持っていった。一眼レフの反応のよさに慣れていたので、シャッターチャンスに間に合わないことがたびたび起きた。だが、重たいものを持ち歩けなくなった以上は、デジカメに慣れていくしかない。
]]>地球最後の秘境と言われるギアナ高地からロサンゼルスの目抜き通りというのは、落差が大きすぎて、おのぼりさん状態だ。ユニセックスの世界は、関係なさすぎ。
通りのタイルの星形の模様は、記憶に残っている。
マイケル・ジャクソンの記名入り星形。
何十年か前にきたときは、お昼だったためか、こんなにおまわりさんはいなかったと思う。9.11以降は増えたのかもしれない。
金色のお洋服のおじさまがいたり・・
それにしても、どうして、みんな歩いてないんだろう。立ち止まって金ぴかマンを眺めている。
背中に羽が生えたお姉さまがあるいていたり・・・・
なんとなく、立ち止まったり、座ったりしている人たち。
まさか、宇宙から来た人に道を尋ねているのではないでしょうね。
中世の騎士みたいな、なにかに扮装した人と記念写真を撮る人。
お金を払わないでも2ショットの写真を撮らせてくれるのかしら。
こういう扮装がなんなのか、さっぱりわからない時代遅れの私たち。
これは確かにチャイニーズシアター。記憶に残っている。
そうそう、この前のタイルには手形と足型とサインがあった。
ベネズエラのグラン・サバナではジュラッシックパークの撮影を行ったというので、スティーブン・シュティルバーグのを記念に撮影しておこう。
ところで、この2本の足の影ってアタシかしら。こんなに長かったっけ。
こういう人たちをみていると、だんだん感覚がおかしくなる。
坊や、もう夜の9時をまわっていて寝る時間はとっくに過ぎているのだよ。
そうだ、もう、帰って寝よう。
]]>ここで、添乗員さんが夕食のヒントを出してくれた。その中に、ファーマーズマーケットで食事をするという選択肢が入っていた。私を含めて全員一致でファーマーズマーケットに繰り出すことになった。問題は、どうやってファーマーズマーケットまで行くか、ということだった。タクシーを呼んだとしても、3,4台に分乗してファーマーズマーケットで再び落合わなければならない。いっそのこと、バスをレンタルしてみよう、ということで、さっそく手配をしてくれた。
幸いなことにうまくバスをチャーターできた。
バスに乗り込んで驚いたのは、床も天井もピカピカと光って模様が現れる。こんなバスはみたことがない。少なくともリタイア組みの多いツアー客が乗る観光バスではない。だけど、みんな、このバスに大はしゃぎだ。
写真左(上)はバスの中。
写真右(下)はバスの床。ト音記号をモチーフにしたようなデザインだ。
死語になってしまったが、サイケデリックという感じ。窓ガラスに濃い色がついていて、外がよくみえないのが残念だ。
夕方の通勤ラッシュと重なったようで、道路の広いロサンゼルスでも渋滞して、30分以上かかったと思うが無事ファーマーズマーケットに着いた。20年以上も前に来たことがあるけれど、そのときは昼間だったし、記憶に残る風景とは異なる。
大きなアーケードの中に入ると、食べ物屋が並んでいる。品物が豊富だ。
かぼちゃ、3.99ドルね。まぁ、こんなものかな。
共有のテーブル。
日本の急須が!!
ケージで飼っていたのではない鶏肉だって。ベネズエラでは全部、ケージではなく放し飼いだったなぁ。
大量に並んだソース類、これぞ、アメリカン。
で、食べたのは、韓国料理の焼肉やナムル。ビールによくあっておいしかった。
こういうところで、日本食が恋しいなどと誰も言い出さなくて良かった。日本食だけは、日本の専門店できちんとお出しをとって作ったものを食べたいから。
]]>カラカスでは、空港近くのホテルに泊まる。今回の旅行では最高に立派なホテルだ。
ホテルの斜め前にはスーパーマーケットがあるので、連れていってくれるという。いつもだと一人で行くのだけど、旅行中に感じた異常なインフレによる社会の不安定さが気になって、みんなにくっついていくことにした。今まで、お土産らしいお土産は買っていなかったので、お土産にラム酒でも買おう、とツアー仲間のほぼ全員が考えていたと思う。
スーパーに入って驚いたのは、品物がないこと。
棚はあるのだが、品物を置いていないところもある。品物を置いているのは、生鮮品など、買い置きがきかないもの。
日本でも一昔前に、トイレットペーパーが棚からごっそり消えたことがあった。そのときはオイルショックによる物資不足の懸念や、インフレを見込んで買いだめが起きたのだ。
ベネズエラのインフレは世界一なので、住民が買いだめに走っているのだ。
ラム酒は、棚にあったので、ツアー仲間は、ラム酒をかかえて、レジに並んだ。10人以上並んでいたが、すぐに順番がくると思ったのだ。ところが、レジでは一人の買い物の精算に5分以上かかっている。カードをどこかに突っ込んだら、しばらく応答を待っている。カード精算はコンピューターでやっているようだが、その処理に猛烈な時間がかかっている。
レジの行列は、いつものことらしくて、並んでいる人たちは、怒り出すこともなく、忍耐強く待っている。
結局、レジを通るのに、1時間以上もかかってしまった。住民は、多分、今買わないと、明日になると倍の値段になってるやもしれず、ともかく今日の値段で買いたいのだろう。
インフレの恐ろしさをまたみてしまった。
今まで人も住んでいないようなところを旅行していたので、あまり感じなかったが、カラカスのような都市部にくると、経済破たん寸前の深刻さがひしひしと感じられる。
買い物の後は、ホテルで夕食になったが、なんと個室を用意してくれている。
ウェルカムドリンクはミントが入ったカクテル酒だ。
前菜は、モッツァレラチーズとトマトなどのよくあるサラダやスープが選べるようになっている。
久しぶりのまともなコース料理なので、写真に撮った。
下はメインディッシュ。
左(上)が牛肉で、右(下)が魚。魚のあしらいが、けっさくなので、これも写真に撮らせてもらった。こんな魚が出てくるとは思っていなかった、とは魚を頼んだ人の弁。
私たちがこんなぜいたくをしているのをベネズエラの庶民が知ったらどうだろう、と思わざるを得ない。
個室で見えないようにしているのも意味があるかもしれない。
さて、次はデザート。ケーキと果物のどちらかを選べる。果物を頼んだ人は、またびっくりすることになった。桃のようなものと小さなリンゴが1個ずつにスイカやパパイヤが盛られている。
飛行機便の都合でカラカスに泊まるスケジュールになっているが、カラカスでは空港近くのホテルに缶詰めになっていたのだった。多分、都心に観光客がいられるような状況ではないと思う。
翌早朝、カラカスを出発した。
パナマで飛行機を乗り換えるので、パナマ運河が見られるかと期待したが、窓際席にならなかったのは残念だった。
パナマ空港は、さすが、パナマの飛行機会社コパエアラインズの飛行機ばかりが並んでいた。
パナマで飛行機を乗り継いで、今度はロサンゼルスまで戻ってきた。ロスアンジェルスから日本往きは10数時間もの待ち時間が生じるとのことで、またロサンゼルスに泊まる。日本に帰るのも大変だ。
ロサンゼルスでは、空港近くのホテルに泊まった。ホテルの部屋からは飛行機がよく見えた。
やがて、よくある農村風景になった。
だが、また湖だ。
カロニ川が流れ込んで、ふたたびカロニ川として出ていく、湖だろう。
街が見えてきたからプエルトオルダスはもうすぐだ。
プエルトオルダスのすぐ近くで、カロニ川は、オリノコ川に合流している。そこの合流地点から、数キロもの間、カロニ川とオリノコ川の本流は、水が混じりあうことなく、流れているそうだ。カロニ川はギアナ高地から流れる黒い水で、一方のオリノコ川は、白く濁っている。だから同じ川でありながら2つの黒と白の帯が流れているようにみえるそうだ。水温の違いなどから混ざらないそうだ。それが観光名所になっている。
残念ながら、飛行機からその合流しているところまでは見えなかった。
プエルトオルダスは、ギアナ観光の拠点となる街だ。
カナイマには陸路で行けないので、空路に頼らざるをえないのだが、プエルトオルダスは、カナイマへの小型飛行機の拠点となっている。
なので、私たちも、ここで小型飛行機から、大きな飛行機に乗り換えて、ベネズエラの首都カラカスまで行く。
ここの空港で、別送されていたスーツケースを受け取った。そのスーツケースにエンジェルフォールとカナイマのための2泊3日分の荷物を押し込んだ。
下写真の左隅っこで、スーツケースの荷物整理をしている。
プエルトオルダスの空港で、昼食として、ビールとバナナとサンドイッチを食べた。暑いので、2ドルのビールがおいしい。
この空港では、はじめてお土産らしいものを買えた。今までお土産屋さんというと、1ドルくらいの手工芸品しかみたことがなかったし、現地通貨を持っていないので、買えなかったのだ。
買ったのは、それでもナッツくらい。
またすぐ飛行機に乗った。
また火事が見える。こんな町中でも野焼きをするのだろうか。
写真の川は、地図と照らし合わせてみると、オリノコ川のはずだけど、泥の色にはみえないのは光のせいかもしれない。
プエルトオルダスからカラカスまでは1時間ほどのフライトなので、すぐに着いてしまう。
カラカスはカリブ海に面している町だ。写真に見えるのは、海だ。
四角い積み木を並べたようなものは、どうもアパートのようだ。5階建てくらいだ。こんなに密集していたのでは、日照も得られないだろうけど、ここは熱帯だから日陰のほうがいいのかしら。
カラカスの都会にまで、崖があるのは驚きだ。ギアナ高地の地質と関係があるのだろうか。
カラカスの空港は、色とりどりの飛行機がある。
ベネズエラは石油が、ほぼただなので、飛行機の燃料に経費がかからない。したがって、飛行機会社はすぐに作れてしまうのだそうだ。その結果、飛行機会社が群雄割拠状態になっていて、いっぱいあるとのこと。
飛行機会社によって、機体の色が赤くなったり青くなったり緑になったり、なんともカラフルな空港だ。
チュルン川はテプイの谷間を抜けたあたりでカラオ川に合流するはずだ。
写真の川がどちらの川かは判別できない。だが、ボートで往復した川であることは確かだろう。
ここを川に沿っていくと、カナイマに出るが、飛行機はこの辺で、プエルトオルダスに向かう。
下界の様子が、今までとは様相が違ってきた。
まず、川の色が違う。テプイから流れてくる川は、ブラックウォーターと言われる黒っぽく見える水が流れている。ところが、今見えている川は、泥の色だ。
小さい川のようだが、氾濫したのか、流域に湿地帯らしい水たまりや池がある。
拡大してみても、人が住んでいる気配がない。
川の泥の色、コバルト色の池、水が干上がった砂地、森などが入り交ざった風景は、キャンバスに絵を描いたようだ。
しばらくすると、今度は息を呑むような素晴らしい景色が広がってきた。
大きな湖に島や半島が複雑に点在している。道路も民家も見える。それに、また火事だ。
拡大してみると、結構広い範囲で燃えている。これもペモン族が火を放って野焼きをしているのだろうか。
戦国合戦の図でもみているよう。
火事さえなければ平和な美しいところなんだけど。
水量が少ないためか、湖の底の砂地が露出していて、それがまた絵のようだ。
こんなに美しいところは観光地に違いないと思って調べてみたが、湖の名前すらわからない。でもグーグルマップを丹念にみていくと、〇〇公園、と書いてあるところがいくつかあったから、地元では景勝地なんだろう。
ここの位置は、ギアナ高地をぐるりと回って流れてくるカロニ川がオリノコ川に合流する手前になる。地図で見る限りでは、カロニ川の川幅が大きくなって湖になっているようだ。
カロニ川は、ロライマ山やグラン・サバナの滝からの水や、エンジェルフォールのあるアウヤン・テプイの滝から流れてくるカラオ川の水が注ぎこむ川だ。言ってみれば、ベネズエラでのギアナ高地に降る雨を全部集めた川なのだ。
ギアナ高地はガイアナやブラジルにもまたがっており、ブラジル側のギアナ高地で降った雨は、アマゾン川に合流していく。
島になっているところを拡大してみると、水量が多くなっても水没しないところは、草地になっていて、木も生えているが、木のないところで赤っぽくみえるのは、砂地だと思う。水量が多い時は水没するのだろう。車が走った後も見える。
旅行ガイドブックの「地球の歩き方」をみても載っていない。ネットで検索してもよくわからない。
あるいは、地上では空からみるほど美しくないのだろうか。
写真手前は砂地、向こうのほうの緑は、水量が多いときも島を形成しているところだろう。瀬戸内海と同じようだ。
えんえんと続く半島や島。
ちょっと緑が濃い半島を拡大してみると、はっきりと道路がある。民家はみえない。
カナイマからエンジェルフォールを回って、プエルトオルダスまでの間、思いがけない絶景を30分ほど楽しんだ。ここは地上を4WDで走ったり、ボートで回ったり、泳いだりできそうだから、行ってみたいものだ。
]]>カラオ川が波だってみえるところがある。あれはマユパの早瀬だろうか。
ブラックウォーターと呼ばれるカラオ川の水も砂浜のところこそ、茶色だが、他のところは空の色を映して青色だ。
グループの乗った飛行機が近づいてきた。パイロットさんたちが大サービスをしてくれる。
しばらく並んで飛んだ。
すぐ近くに寄ってきて接触するのではないかと怖ろしくなるほどだ。
テプイの谷間に入っていくと、川が蛇行しているのが見える。あれはきっとチュルン川だ。
あの川をボートで上っていったのだ。
突然、エンジェルフォールが目の前に現れた。
ボートでは4時間もかかったところを飛行機だと20分もかかっていないと思う。
下まで全部見える!!
写真に窓ガラスの映り込みが入ってしまったが、記念写真なので。
世界一の落差979m。アウヤン・テプイの標高は2560m。
エンジェルフォールの展望台も、遊んだ滝壺もみえるはずだが、判別できない。
近くから撮った最後の写真。
下から見上げていたときは、山の頂上から滝が流れているようにみえたが、アウヤン・テプイと同じ高さからみると、テプイの水を集めて滝になってもおかしくないことがよくわかる。
滝が遠ざかって、今度こそ、本当に見納めとなった。
写真左に白く細くみえるのがエンジェルフォール。
エンジェルフォールはアウヤン・テプイの谷間の奥深くにあるので、またテプイの谷間を引き返してくる。
テプイがまるで城壁のようだ。これでアウヤン・テプイも見納め。
滝を眺めながら、ゆったりと朝食をとるのもなかなかいいものだ。
朝食のあとは、荷物を片づけて出発の準備をしなければならない。もう、帰国に向けて飛行機を乗り継ぐだけだ。
木に張り付いているエアープランツ。
クルシアは日本の植物園でまた見ることができるかもしれない。
滝の向こうのテプイが姿をあらわしつつある。
滝の下に、観光のボートが出ている。
向こうのテプイが長く続いている。
そのテプイの切れたところが湖の左側に見える。
いよいよ出発だ。
ホテルから空港までは歩いてわずか5分。
途中でまたクルシアを見かけた。このクルシアは、今までみたのとは違って、ほんのりピンクだ。
ホテルのゲートをくぐって記念写真。
スペイン語、英語に続いて日本語でようこそ、と書いてあるから日本人も多く来るのだろう。今回は日本人には会わなかったが。
空港の手前に咲いていた花。
あっというまに空港到着。小さい飛行機が並んでいる。
空港のお土産屋さん。カナイマでお土産を売っているのは、ここだけのようだ。
ここでは米ドルが使えたので、はじめて買い物をした。
ハスペの滝の石で造られたペンダントをいくつか買った。
カナイマに来る観光客は、エンジェルフォールまで行かないで、遊覧飛行でエンジェルフォールを見るだけという人もいると思う。下の写真の人たちは、その軽装から推測すると、どうもその部類のようだ。
一方、日本からのツアーのほとんどは、エンジェルフォールまでボートに乗ってでかけていき、さらにハイキングでエンジェルフォールの真下まで行く。
ハイキングなしでエンジェルフォールが見えるキャンプ場まで、というツアーもあるらしい。
子ども連れだと、カナイマ湖だけでも楽しく自然を満喫できると思う。
湖面には白い泡がいっぱい。これはサポニンだ。ギアナ高地の水辺はどこでも泡立っている。水がサポニンを含んでいるから、というのが、泡の原因らしい。なぜ水がサポニンを含んでいるのかは、わからないが、例によって憶測すると、岩でできているギアナ高地は、土壌がなく、水分を吸収することなく、そのまま流れていってしまうので、浄化作用が行われない。したがって、植物が排出するタンニンやサポニンもそのまま川に流れていってしまうのではないか。
さて、滝から出ている水蒸気が昨日の夕方見たのとは、様子が異なる。
一体、どうしたことだろう。
しかも、逆光ではないか。
なにが起きているのか、どこに滝があるのか、よくわからないほどだ。
早朝の滝めぐりは神秘的。
夕方見るのと、早朝見るのとで、なぜこんなに違うのか。例によって憶測すると、水しぶきはいつも同じように発生しているが、逆光により、水しぶきだけに光があたるので、水しぶきが強調されてしまう、ということかしら。
これは、昨日、すだれのように細いひも状の繊細な流れを見せていたアチャの滝だ。なんという変わりようだろう。逆光のせいだけでなく、水量も昨日よりは、はるかに多い。そういえば、昨夜は雨が降っていた。
これもアチャの滝を反対側からみている。逆光から少し回復すると色彩が戻ってくる。
こちらもすごいことになっている。
もう雪崩状態ですね。
手前はアナトリー島。その奥に滝が並んでいる。
滝には名前がついているのだが、もうさっぱりわからない。
大洪水の図。
アチャの滝をアナトリー島越しに眺める。
なんだか、不思議な逆光のモノトーンのクルーズだった。
ボートが砂浜に乗り上げて、到着だ。
まずは、テラスまで階段を登っていく。
とてもいい眺めだ。
なんでも、カナイマで最高の場所にあるホテルだそうだ。
国営なので、一番いい場所を確保しているとか・・・。
国営でない、いいホテルも湖畔にあって、そこは滝の真正面にあるから、どちらがいいのかわからないが。
部屋はまずまずだ。カーテンやベッドカバーが豹柄、壁は緑に塗られていて、ヤモリみたいな大きな模様が入っている。こういうインテリアも珍しい。
ボートで雨に打たれ、サポの滝の滝くぐりでも濡れてしまった衣服をなんとかしなければならない。
ビーチサンダルも靴下も濡れている。
エンジェルフォールのキャンプでは電気が使えなかったから、カメラの電池の充電もしなければならない。
濡れた衣服を着替えて食堂にいくために外に出ると、また雨になっていた。これ以上濡れてももう着替えがない。スーツケースはないのだから。エンジェルフォールとカナイマの2泊分のものしか持ってきていないのだ。あ~ぁ。
夕飯はビュッフェスタイルだった。なので、毎晩食べていた鶏肉はやめて野菜中心にした。
なによりビールがほしかったが、ビールはなかった!!!
カナイマは陸の孤島になっていて、交通は飛行機しかないので、重たいビールは運べないと言われたが、ちょっと信じられない。
仕方がないので、これまた毎晩飲んでいたラム酒のコーラ割りを呑んだ。
ラム酒はベネズエラではどこでも手に入れることができる。そのまま飲んでもおいしいそうだが、コーラで割って飲むのが、薄める場合は定番らしいので、いつもそうしていた。日本でコーラなど飲んだこともないが、以前ウユニ湖に行ったときに、標高が高いところではコーラがおいしいよ、と教えてもらって飲んだらおいしかったのだ。
デザートがけっさくだった。ムースにプラスティックのスプーンをつきさしている。
ともあれ、温かいお湯のシャワーもあるし、消灯の制限もなく、ハンモックでなくベッドで寝たのは幸せだった。
一夜明けて、すぐに外に飛び出した。ドアを開けるともう、すぐ砂浜に続いてカナイマ湖が広がっている。
雨は止んでいた。いくつもの滝が白く見える。
滝とは反対方向の砂浜。
カメラを思い切り望遠側にして、滝の様子をみてみる。しぶきがすごい。
浜辺には、犬もきた。ゆったりとした時が流れている。
この後ろを振り返ると、泊まっている部屋。長屋方式でドアを開けると砂浜だ。
昨夜の雨のしずくを残したままの花。
さて、今日は朝食の前に、30分ほど、カナイマ湖のクルーズをやることになっている。昨日の夕方遅くなってしまったので、ボートで帰ってきただけだったからということで、追加してくれたそうだ。
また、ライフジャケットをつけて、ビーチサンダルでボートに乗り込む。
ボートから泊まった部屋を撮っておこう。
カナイマ湖のシンボルだという、湖の中にある3本のヤシの木も記念撮影。
水量が少ないのか、岩がむき出しで、真ん中のほうまで歩いて行ける。
上流の方向を振り返ると、遠くにテプイが見える。
ここから滝の下のほうまで下りていき、滝の裏側を歩きに行く。
下の写真は、滝の裏側を歩いてきて、反対側に抜けたところ。カメラはまとめて防水の袋に入れて持ってきてくれた。
みんな記念写真を撮っている。
水量が少ないせいか、滝の裏は難なく歩いてこれた。グラン・サバナのユルアニの滝では、膝の上まで、川の中につかって、水圧に耐えながら手をつないで、歩いたが、ここでは水の中を歩くこともなく、水は降り注いでくるものの水圧を感じることもなく、一人ずつ歩けた。しかもロープを張り巡らしていて、つかまって歩けばかなり安全だ。
写真は、滝の裏側がみえる滝のはしっこ。ロープが見える。
水の流れがあるところにも水草が生えていて、緑がきれいだ。水量が多いときは緑はみえないだろう。
サポの滝の裏側歩きは、快調にこなした。
これで、今日の観光メニューは終了した。後は、ホテルに行くだけ。
アナトリー島を横切る形で、サポの滝とは反対側まで、1.5kmほど歩いていき、そこで、ホテルに向かうボートを待つ。
ボートを待っている場所から、カナイマ湖に注ぐ滝がいくつか見えた。
ちょうど観光客を乗せたボートが出発するところだった。裸のインディアンみたいな格好の男性は、観光客のためにこういう扮装を見せているらしい。
アチャの滝はよく見えたので、記念写真を。
特に、真ん中の流れが、水草のおかげですだれのようになっていて美しい。
滝に残照があたってきれいだったのだが、そのうち薄暗くなってくる。でもボートは来ない。こういうことは、もう慣れっこになってきた。
ようやく来たボートに乗った時は、アチャの滝も夜のとばりが降りる寸前になっていた。
アチャの滝のお隣は、ワダイマの滝かなぁ。
続いて、コロンドリナの滝、ウカイマの滝となるはずだが、小さい滝もあって、どれがどれだか、よくわからない。
アウヤン・テプイの壁から滝がさかんに落ちている。
こちらにも滝が。なんか、悪い予感。どこかで大雨が降っているのではないかしら。お天気も曇ってきたし・・・
あそこもテプイから放水している。テプイの台地に雨が降ると、水を吸収する土壌がないので、一気にテプイの下に向かって流れ始める。
午後の光が壁にあたりはじめて、ちょうどいい時間なのに。
奇妙な山・・・と観察するまもなく、
あっというまに雨が降り始めた。雨の予感はあったが、いきなり降り始めたのだ。しかも、今度は雷まで鳴っている。
ゴアテックスの雨具上下を着ていたから、よかった。雨が当たらないようにリュックをかかえて顔を下に向ける。
雷の大音響がカラオ川の谷間に響き渡る。アウヤン・テプイの絶壁が、雷鳴をはねかえして実際よりも大きく聞こえることもあるだろう。
雨は、往きに出会ったのよりもっとひどい。
雷がボートを直撃しないことを祈った。
30分以上の間、激しい雷と豪雨は続いた。このような状況の中で逃げ先がなく濡れっぱなしというのは初めての経験だ。
雨が少し落ち着いたころ、マユパの早瀬に着いたので、全員、ボートを降りて歩き始めた。
往きもそうだったが、マユパの早瀬は、危険なので、観光客を乗せて、ボートで通行することは禁止されている。
雨の降る中、ビーチサンダルで40分ほど歩いた。傘などさすことも思い浮かばないほどボートで濡れていたから雨は気にならなくなっていた。カメラはビニール袋に入れてリュックにしまっているから、ただひたすら歩く。10cmを超える深さの水たまりもあるが、避けてもいられなくて、とにかく真っ直ぐ歩く。歩くことだけに専念したのもなかなかできない経験だった。
廃屋が見えてきたころ、雨は止んだ。ボート乗り場はもうすぐだ。
この廃屋は、マユパの早瀬を歩く中で、1軒だけの家なので目印になる。
廃屋の窓に巨大な蜂の巣が見える。
ボートに20分ほど乗って降りたのは、アナトリー島というところだった。往きのボート乗り場ではない。
アナトリー島はカラオ川がカナイマ湖に注ぐ入口のところにある。
そこは息を呑むほど、澄み切った景色がひろがっていた。雨のあとなので、空気が澄んでいたからだろうか。
遠くにテプイが見える。
エンジェルフォールに行くときも、豪雨に会い、ようやく雨が止んだと思ったときに、エンジェルフォールが姿をあらわした。あのときも、豪雨に打たれた後だったので、ようやくたどりついた、という安ど感がエンジェルフォールを見た感動を一層大きくしたのだった。
帰りも雷と豪雨で、この世の終わりかと思うほど怖かったが、雨が止むと、太古から続いているような静けさに包まれた景色が広がっていた。
この風景は、全身びしょ濡れになってたどりついたご褒美かもしれない。
お天気も上々。
大きな岩の間をすり抜けるのも行くときに経験しているから、怖くない。
後ろを振り返ると、エンジェルフォールの見納めの姿があった。
この辺は岩が多い。
ボートが上ってくる。めったにボートとはすれ違わないので、両方で手を振る。
乾季には、ボートはキャンプ場まで行くことができないときがあるそうだ。
こういう浅瀬をみると納得する。
アウヤン・テプイの壁もそろそろ見納めになる。
いくつもテプイがあるように見えるが、全部つながっていて、テプイの上に降った雨が、このチュルン川に流れ込んでいる。
岸辺に草が生えているのは珍しい。行くときは豪雨だったあたりなので、よく見ていなかったのだ。
ボートは砂地に乗り上げて停まった。ここで休憩になる。また、男性は右、女性は左、となる。
上を見上げると、クルシアが咲いていた。
ピンクの混じった花びらは、かわいい。ギアナ高地を代表する花だ。
エンジェルフォールはエンジェルさんが発見したことからつけられた名前だが、先住民は、古い昔から、この滝を知っていて、チュルン・ヴェナと呼んでいたそうだ。
先住民が名前をつけて呼んでいたにもかかわらず、後から来た人たちが、新発見といって、別の名前で呼び始めることを、ベネズエラ政府がなぜ黙認しているのか、まったく解せない。
日本の富士山をコロンブスみたいな人がやってきて、コロンブス山と呼ばれるようになるとして、日本人は許せるだろうか。
エンジェルフォールのあるアウヤン・テプイは、先住民であるペモン族の言葉で、悪霊のテプイという意味だそうである。テプイは卓状台地のことで、ペモン族の言葉では、神々の家という意味だそうだ。だから、アウヤン・テプイとは悪霊の棲む山という意味なんだろう。
オリノコ川をさかのぼってくると、カロニー川、さらにカラオ川、チュルン川とたどっていって、エンジェルフォールのところまでたどりつける。だからボートさえあれば、昔の先住民もこの姿をみたことだろう。
5分くらいでキャンプ場に到着した。これから昼食だ。
キャンプ場の登り口から川を見下ろすと、明るい昼の陽射しに川が輝いていた。
川の色がなぜ、茶色かという説明で、タンニンを多く含んでいるから、と書いてある。だが、なぜタンニンを多く含んでいるかの説明がどこにもない。
なぜなんだろうとずっと気になっていたが、ついにひらめいた。川が茶色の理由、タンニンを多く含む理由とは、こうだ。
ギアナ高地は固い岩盤でできているから、雨が降っても地中に沁みこむことなく、すぐに流れていってしまう。このときに、植物から出ているタンニンも一緒に流されてしまうので、川の色が茶色になるのだろう。
日本だと、山に降った雨は、いったん地中に吸い込まれ、分厚い地層で濾過される。そして清流となって川に流れ込んでいく。川の水が茶色いのは、土がないからなんだ。(この説はあっているのだろうか)
土壌が豊かであることが、いかに大切かが、よくわかる。
ギアナ高地は、川の水が、酸性になり、大きな魚は棲息できないそうだ。したがって、魚を食べる鳥も少なく、鳥を食べる動物も少なくなるそうだ。
そういえば、鳥が少ない。エンジェルフォールのような、奥地にきても野獣の心配がほとんどない。
これに土壌がやせているとなると、沈黙の世界に近くなる。
さて、キャンプ場に着くと、昼食の用意がすっかりできていた。
スパゲッティと別にミートソースが出てきた。
スイカは、どこに行っても定番だ。
エンジェルフォールまでの旅程をこなすと、どうも気が抜けてしまう。旅行の最大イベントだったのだから。
荷物をまとめて帰る準備をする。靴もハイキングシューズから、ビーチサンダルに履き替える。
ハンモックで現地ガイドのお子さんが遊んでいた。
写真の小路は、ボート乗り場からキャンプ場への道。ここでも根っこが地面の上を這っている。
植えたのではない自生の花もあった。
葉に大きな特徴のある植物は、よくみかけたが、結局、名前はわからない。
原種パイナップルという感じの植物もよくみかけた。
キャンプ場の林の中にいると、確かに、木と木の間にハンモックを吊って午睡したくなる。
私たちの荷物もボートに積まれた。
出発だ。
ここ、ラトン島には、キャンプ場がいくつかあって、それぞれ、旅行会社が管理しているようだ。エンジェルフォールへの山道の途中でも、2軒ほど屋根があるだけの小さなバラックがあったが、使われている様子はなかった。
今朝、エンジェルフォール直下にいたのは、私たちだけだったということになる。
エンジェルフォールへのツアーは日本からでもいくつも組まれているが、ほとんどは、カナイマからの日帰りになっている。そうなると、エンジェルフォールに到着するのは、早朝4時にカナイマを出発したとしても、ボートで4時間、歩いて2時間近くかかるから10時になる。そして、すぐにカナイマに戻ることになる。それに往復8時間も背もたれのないボートに乗らねばならないので、体力的にも厳しい。
やっぱりハンモックで1泊してゆっったりとした旅程でよかったと思う。
エンジェルフォールまで舗装道路を作って観光客を誘致しようと思えば、すぐにでもできてしまうと思うが、ベネズエラ政府が原油に頼っていて新産業への投資を怠っているおかげで、大自然が、そのままの姿で残っているともいえる。
だが、今の原油安は、原油に頼っている各国の経済を脅かしている。ベネズエラが原油安で、破たんしたとすると、米国資本がどっとなだれこんできて、ギアナ高地は、一大観光地として大開発がされてしまうだろう。
そうなる前に、ベネズエラ政府には、原油に頼らない経済基盤を早急に作り、かつ自然保護にも注力してほしいものだ。観光客を呼び込むために美人を作ろう、などというピントのずれたことを言っているどころではないのだ。
さて、
ボートから見えるエンジェルフォールには再び雲がかぶさっていた。
落差は979mで世界一だ。
アウヤン・テプイの標高は、2560mだから、現在、私たちのいる地点は、だいたい、標高1600mということになる。
落差は約1kmというが、下から見上げた限りではそれほど高くは見えない。
それより、山の頂上から滝が降り注いでいる異様な光景と、滝の山肌の、たった今、削り取られたばかりのような荒々しさが相まって、その姿だけをとっても世界一の名にふさわしい。
頂上付近の鋭い岩が何億年も前からそのままだとは思えない。
17億年前、ここにはゴンドワナ大陸があった。そして、ほとんど動いていないそうだから、地球最古の台地なんだそうである。柔らかい岩は削られ、固いところだけが、現在残っているという。
上の写真から1分後。
さらに1分後。
滝の水は、岩の間から噴き出しているように見える。
今にも落下しそうな岩、これが何億年も同じなんだろうか。
上の写真からさらに1分後。
さらに1分後、ふたたび、エンジェルフォールは雲に閉ざされた。
滝の下は、暴風雨状態らしい。近づく道はなさそうだった。あったとしても、観光客は危険すぎてとても入れないだろう。
滝の下のほうも、そのときどきによって、様子が、変わる。霧ばかりのように見えたかと思うと、次には水のすじが見えたり。
上の写真からさらに1分後。
さらに1分後。
見えたかと思うと隠れたり、えんえんとこの繰り返し。
朝の6時半に出発したというのに、もう9時半になっていた。
滝の展望台あたりで1時間以上も過ごしたのだ。
この間、展望台は、他のグループはだれも来なかった。おかげで狭い自然の岩の展望台でのんびりできた。
キャンプ場に泊まると、こういうゆったりした過ごし方ができる。
だが、もう戻る時間になったようだ。
10時近くなって、光は一段と明るくジャングルを照らしている。
下の川まで戻ってきたときは、エンジェルフォールは、雲でかくれたままだった。
だが、あっというまに雲がとれていった。
記念に山頂付近をもう1枚。
滝の直下でみるのとは角度が少し違う。
しばらく展望台の岩場に座って休んだ。エンジェルフォールは上のほうが雲で隠れてしまって見えない。
エンジェルフォールから流れてくる川や滝をみているだけでも疲れがとれる。
2分ほど経つと、エンジェルフォールのてっぺんがうすく顔を見せた。
写真をみると、フェニックス(不死鳥)が飛んでいるように見える。何千万年も、この姿なんだろうか、まさに不死鳥だ。
今のうちに、滝の落ち口を撮っておこう。
そして、滝壺があるかどうかも、ふたたびみてみよう。
やっぱり滝壺はないですね。
いったん、霧となって空中に舞いあがった水が、ふたたび、地上に下りて川になっている。
あとちょっとで滝全部がみえそうだ。上の写真から8分後がこれ。
さらにその1分後。
雲がどんどん変わっていくので、じっとみていても飽きない。
展望台からさらに5分ほどエンジェルフォールに近づく形で、展望台を下りていくと、エンジェルフォールの滝の水を集めた滝壺があった。
何人かの方が、水に入って泳いだりしていた。
ここからエンジェルフォールが見えるはずだと思ったが、雲にかくれているのか、見えない。
滝壺から下流方向の眺め。
みんなが滝壺で遊んでいるうちにと、植物を眺めながらゆっくり展望台まで登っていく。
葉っぱの先が櫛みたいに切れている植物、これははじめて見た。
原種のパイナップルみたいな植物だ。
これは、キャンプ場からの山道にもあった花だ。
展望台に戻ってくると、エンジェルフォールは、あと一息で姿をあらわしそうだった。
エンジェルフォールは雲に包まれて下のほうしか見えていなかったが、雨でなかったのはなによりだ。
ラトン島のキャンプ場からは、またボートで5分ほど、対岸に渡った。そこからハイキングになる。
歩き始めてすぐに、また川を渡ることになる。今回は、ハイキングシューズのまま、岩伝いに渡っていけた。水量が多い時には、ハイキングシューズを脱いで、川を渡ることになるそうだ。
昨日の夕方、猛烈な雨が降ったので、水量はかなり増えているはずなのだが、やはり、今は雨季の盛りを過ぎているため、全体的に水量は少ないのだろう。
現地ガイドさんが、植物の説明をしてくれる。これはありがたい。
アンスリウム(サトイモ科アンスリウム属)
朝の光の中の熱帯雨林が気持ちいい。
これは、マナレ、とガイドさん。
アラセア(サトイモ科)
道がけわしくなってくると、とてもカメラで楽しんではいられなくなる。やっとみんなに追いついたと思ったら、みんなは、出発するので、結局、休憩が十分とれない。
足元は気の根っこが這っていて、普通には歩けない。ギアナ高地は、岩盤でできているので、植物の生える土は少ない。植物は、地中深く根を下ろすことができず、横に根を這わせることになる。
木の根は、すべりやすく、一歩一歩注意して歩かねばならないので、景色どころではなくなる。
それでも足元の花は、記録にとどめたい。
これは日本でもよくみる、カラー。これもサトイモ科なんだそうだ。オランダカイウ属。
だれもいないこんな山奥にも道標があった。エンジェル滝の展望台はこちらとある。
ほどなく展望台に到着した。
相変わらず、上のほうは、雲でおおわれていた。でも神々しさが感じられる。
滝壺がない滝と書いてあったので、本当かどうか、よ~~く見てみたのだが、よく見えない。水は霧のようになって下にそそいでいる。それが、川となって、展望台のほうに流れてきている。
キャンプ場に着いたころは、もう薄暗くなりかけていた。キャンプ場の下の河原まで行けば、エンジェルフォールは見えるのだが、雨の後の薄暗い中では、写真も撮れないだろう。
それより、ボートで雨に打たれ、水しぶきにあたって、全身びしょ濡れの状態をなんとかしたい。
濡れて重くなった、ぶあついライフジャケットをはずす。次に、ゴアテックスの雨具を脱ぐ。雨具の下は、それほど濡れていなかった。
びちゃびちゃのビーチサンダルと靴下を脱ぎ、乾いた靴下とハイキングシューズに履き替える。靴下も靴も、がっちりとビニールでくるんで、ボートに積んでくれていたので、濡れていない。
自分で持っていたリュックサックは、ビニールでくるんでいなかったので、中のタオルなどじっとりとしめってしまった。
濡れたものをどこかで乾さねばならない。
現地ガイドさんたちは、夕飯の用意で忙しい。添乗員さんや、そのほかのスタッフの方たちは、ハンモックを吊るのに忙しい。私たちは、びしょびしょ状態をなんとかするためにうろうろ。
今夜は、ハンモックで寝ることになる。これもどうなるのか、さっぱり見当もつかなかったことだ。
ハンモックは、洗濯したものを、ボートに積んで持ってきたそうだ。これはスゴ~イ。うすいタオルケットもある。
ハンモックが吊られると、場所の割り当てがある。自分の場所が決まると、乗り心地を試したり、ゆらしてみたり。ハンモックでの寝方は、説明があったので、そのとおりにしてみた。斜めに寝るといいんですって。初めてのことなので、ものめずらしさも手伝って、時間がかかる。
ハンモックには蚊帳がついているので、虫の心配はなさそうだ。チバトンのロッジでは、夕飯の間中、蚊取り線香で部屋をいぶしていたことを思い出した。
ハンモックの蚊帳に入ってしまうと、外からはほとんどみえなくなってしまうことも新しい発見だ。
ハンモック騒動や、荷物の置き場所づくりでもたもたしている間にも、夕飯ができた。
まずはビールで乾杯。メインは鶏肉の煮込みだったと思う。コックさんがいるわけでもなく、カナイマからボートで一緒に来たスタッフの方たちが、すべてをやっている。
みなさま、それぞれ荷物に入れてきた漬物やおつまみ類をテーブルに並べて、おいしくいただいた。
暗くなった中、裸電球がぶらさがっているだけで、カメラはうまく写らなかった。
食事が終わったら、今度は寝る準備に入るが、これも、ハンモックがはじめてなので要領をえない。
シャワーはあるが、水だけなので、ハンモックの蚊帳の中で清拭用の市販品を使って体を拭いた。綿の上下に着替えるとさっぱりした。夜、寒いといけないので、裏がフリースの真冬用ズボンとダウンジャケットを綿のパジャマの上に着て寝ることにする。これは大正解だった。朝まで温かく、一度も目が覚めないで、ぐっすりと寝られた。
夜になると、電気がつかなくなるのも心配していた。懐中電灯だけで、トイレに行かねばならない。で、懐中電灯もすぐに取り出せるように貴重品とまとめて袋に入れ、枕にする。だが、結局、ハンモックで横になったとたんに眠ってしまい、朝まで起きなかったのだ。
結局、行くまであれこれ心配していたことが、あっけなくクリアできてしまった。
さて、いつもは、モーニングコールで目覚めるのだが、この日は、モーニングコールはなかった。
そんなのなくてもみんなが起きだすから目が覚めてしまうのだ。
で、何時なのかわからないけど、明るくなったら起きてご飯を食べるという自然の中にふさわしいスタイルになった。
ご飯を作らなくても、もうできているというのはありがたい。
おなじみになった、トウモロコシ粉でできた焼き立てパンが、熱くておいしい。コーヒーにハム、チーズがあれば十分だ。
明るくなったので、ハンモックを撮っておこう。
向こうのオレンジ色のは、ライフジャケット。濡れたので乾している。
青色のが私たちの蚊帳のついたハンモック。
赤色のは、来た時から吊ってあった。
私たちのほかに、5,6名の宿泊者がいたので、その人たちが使っていた。
エンジェルフォールに向けて、ハイキングを開始したのは、朝の6時半だった。
また戻ってくるので、水とカメラとゴアテックスの雨具だけを小さなリュックに入れて出発した。
エンジェルフォールは厚い雲がかぶっていて、下のほうが少し見えるだけだ。
なんて気持ちいいんだろう。
]]>雲は、まだテプイの上にかぶさったままだ。
往く手のほうのテプイの壁は、滝が何本も流れている。
壁のあちこちに穴でも空いているように水が噴出している。さっきの雨が流れ出しているのだろう。
水なのか、岩の模様なのか判然としないほどの水が流れている。
これは、確かに水だ。岩から水が噴き出して滝になっている。
一段と高いところから、流れてくる滝。
このときは、気が付かなかったが、これこそ、エンジェルフォールではないか!
だが、滝よりも、ボートは、岩の難所にさしかかっていて、そちらのほうが気になる。
岩と岩の間をどうやってすり抜けるのだろうと思いながら、全員が、かたずをのんでいたはずだ。
ボートは岩にぶつかりながら、なんとか抜けていった。
そして再び、アウヤン・テプイの壁の滝に目が釘付けになる。
やっぱり、遠くに見える、あれはエンジェルフォールではないか。
近くの壁からも、滝がいくつも流れている。
少しずつ、エンジェルフォールが近づいてくる。
やっと、来たのだ。