エンジェルフォールが見えた [ギアナ高地]
1時間近く、たたきつけるような雨の中でうずくまっていた。もうずっと降り続けるのではないかという気がした。
だが、雨は止んだ。
こんな中でもボートのエンジンは動いていて、船頭さんは、ちゃんと舵をきって進んでいた。
あたりは、もやっとしている。
深い山奥の空気に満ちている。
あの豪雨をくぐりぬけた安ど感が湧きあがる。
雲は、まだテプイの上にかぶさったままだ。
往く手のほうのテプイの壁は、滝が何本も流れている。
壁のあちこちに穴でも空いているように水が噴出している。さっきの雨が流れ出しているのだろう。
水なのか、岩の模様なのか判然としないほどの水が流れている。
これは、確かに水だ。岩から水が噴き出して滝になっている。
一段と高いところから、流れてくる滝。
このときは、気が付かなかったが、これこそ、エンジェルフォールではないか!
だが、滝よりも、ボートは、岩の難所にさしかかっていて、そちらのほうが気になる。
岩と岩の間をどうやってすり抜けるのだろうと思いながら、全員が、かたずをのんでいたはずだ。
ボートは岩にぶつかりながら、なんとか抜けていった。
そして再び、アウヤン・テプイの壁の滝に目が釘付けになる。
やっぱり、遠くに見える、あれはエンジェルフォールではないか。
近くの壁からも、滝がいくつも流れている。
少しずつ、エンジェルフォールが近づいてくる。
やっと、来たのだ。
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